- JUNE 2015 -

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

琉球の伝統を守る踊り手たち

 黄色や赤の鮮やかな、紅型(びんがた)染めの衣装を着付けていく踊り手たち。琉球舞踊「四つ竹」の舞台前、楽屋での支度風景をとらえた一枚は、1997年6月号の特集「沖縄の心」に掲載された。撮影した写真家のカレン・カスマウスキーは、米国人の父親と日本人の母親の間に生まれ、2歳まで日本で暮らしていた。父親が米軍の軍人で、横須賀基地に駐留していたのだ。


 取材当時の沖縄では、95年に起きた米兵による少女暴行事件や、米軍機の事故・騒音問題を背景に、米軍と基地への反感が高まっていた。特集では基地問題を大きく取り上げ、米軍施設への抗議活動などを取材。その一方で、伝統文化を大切に守り、旅人を優しく迎え入れる沖縄の人々の、心の温かさも伝えた。


 沖縄の南国らしい親しみやすさと独特な文化に、カスマウスキーは魅了された。琉球舞踊の楽屋での取材を許され、足を踏み入れた彼女は、「身支度をする3人の踊り手たちが、ほぼ一列に並んでいて、その繰り返しのパターンが目に飛び込んできました」と振り返る。次にカスマウスキーの心をとらえたのは、帯を手際よく結ぶ手の、なんとも優雅な動きだった。「思いきって、この手元にフォーカスしてみよう。そう思ったことで、おのずと構図が決まりました」


写真=KAREN KASMAUSKI/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE