都市部の拡大により生息地を失ったヒョウが、人間の住む場所に姿を現すようになった。人間は果たして、ヒョウと共存していけるのだろうか。

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ヒョウと人間 縮まる距離

都市部の拡大により生息地を失ったヒョウが、人間の住む場所に姿を現すようになった。人間は果たして、ヒョウと共存していけるのだろうか。

文=リチャード・コニフ/写真=スティーブ・ウィンター

 近年、ヒョウは人間のすぐそばで暮らすようになってきた。ほかに選択肢がないからだ。ヒョウの二大生息地であるアフリカのサハラ砂漠以南とインド亜大陸は、世界でも特に人口密度の高い地域でもある。増え続ける人口により、アフリカではヒョウの生息地の66%が、ユーラシア大陸では85%が奪われてきた。生息地の消失は、ほとんどが最近50年間に起きている。多くの地域で、ヒョウが生き延びられる場所は、もはや人間のすぐそばにしか残っていないのだ。

「捕獲して別の場所に放す」対処が襲撃を誘発?

 過密化した世界で、ヒョウが生き残れるかどうか試されているのがインドだ。むしろこの地が、人間とヒョウの共存のモデルとなるかもしれない。なぜなら、インドには数多くのヒョウが生息し、保護区以外の場所や、人間のすぐそばでも暮らしているからだ。人々もヒョウに対して寛容な姿勢を示すことが多い。

 国際的な自然保護団体、野生生物保護協会の生物学者ビドゥヤ・アトレヤは2001年からの3年間に、インドの田舎町・ジュナル周辺で多発したヒョウの襲撃について調べてみた。すると、最初は偶然のように見えた出来事に関連性があることに気づいた。森林局は、家畜に被害が出た後を中心に、この地域で100頭以上のヒョウをわなにかけ、捕獲地点から平均30キロ離れた森に放していた。これは、問題を起こした肉食動物に対して世界で行われている一般的な方法だ。だがこうした移動の後に、ジュナルで人間が襲われた件数は325%も増加し、死亡件数の割合が2倍になっていたのだ。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年12月号でどうぞ。

編集者から

 ちょうどこの記事を編集していた10月初旬。インド北西部ラージャスターン州の村で、頭が金属製のつぼにはまって抜けなくなったヒョウのニュースがインターネットを中心に流れました。ヒョウはつぼの中の水を飲もうとして頭が抜けなくなったとみられ、4~5時間、そのままの状態でヨロヨロとさまよっていたものの、ほどなく鎮静剤を打たれてつぼを外されたとのことです。
 ヒョウが頭をつぼに突っ込んだまま歩く姿はなんとも間抜けで、ニュースを見た瞬間は思わず笑ってしまったのですが、これぞまさに、インドの人々とヒョウをめぐる問題を象徴するようなニュースだったと気づき、少し複雑な気持ちになってしまいました。(編集M.N)

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