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ナショナル ジオグラフィック日本版 2015年12月号

90億人の食 味覚の科学 「おいしい」と感じるのはなぜ?

  • <b>舌から脳へ</b><br>青い食用色素を塗った舌に見える白っぽい粒々は、舌乳頭と呼ばれている。食べ物の味を感じるのは、この舌乳頭の中にある味蕾(みらい)という微小な器官だ。味蕾から送られた信号は脳内でほかの感覚と統合されて、豊かな快感を生む。その喜びを得ようと、人は食べ物を求める。
  • <b>目や耳、鼻で味わう</b><br>英国南部の小さな町ブレイでレストラン「ファット・ダック」を経営する有名シェフ、ヘストン・ブルメンタールは、風味を感じるのは舌だけではないという研究を参考に、「多様な感覚で味わうメニュー」を開発した。食卓に並んだのは、マテガイ、ザルガイ、泡状にした塩のほか、タピオカとパン粉、ウナギの稚魚で作った「食べられる砂」。客は貝殻に入った携帯音楽プレーヤーで、波の音とカモメの鳴き声を聞きながら食事する。名づけて「海の音」という料理だ。
  • <b>初めてのブロッコリー</b><br>生まれたばかりの赤ちゃんにも、味の好みはある。人類の祖先から受け継いだ生来の嗜好があるし、胎内で母親の食生活の影響も受けている。この生後10カ月の男児は、米国フィラデルフィアのモネル化学感覚研究所で、初めてブロッコリーの味を知った。苦味を嫌う反応は生まれもったものだが、それを克服することはできる。「8~10日間、毎日少しずつ食べさせると、今ほど嫌がらなくなります」と、同研究所の生物学者ジュリー・メネラは言う。「こういう顔をしなくなるには、もっと時間がかかりますけどね」
  • 科学技術で、トマト本来の味を取り戻せるだろうか。米フロリダ大学の研究チームは、消費者が好む風味と、それを生む揮発性物質の特定に取り組んでいる。特定に成功したら、品種改良でその化学物質をもつトマトを作る。商業栽培に適した品種の開発が最終目標だ。
  • <b>実験するレストラン</b><br>デンマークの首都コペンハーゲンにある有名なレストラン「ノーマ」に設けられた科学実験室。研究開発主任のラース・ウィリアムズと専属の食品科学者アリエル・ジョンソンが、濃縮装置を使ってバラの花びらから風味豊かなエキスを抽出する。
  • レストラン「ノーマ」の実験は、店の試作用キッチンでも続けられる。写真は最近の創作料理の一つで、頭と翼の羽毛を残した鴨のグリルを、作り物の巣に載せたものだ。
  • <b>ナマズは泳ぐ「舌」</b><br>ナマズは、皮膚やえら、唇、ひげが、人間の舌にあるような味蕾で覆われている。おかげで、濁った泥水の中でも獲物を見つけられるし、研究者にとっては優れた実験材料にもなる。
  • 外界の電気を遮断する小部屋の中で、ナマズの味蕾が出す電気信号を測定しているのは、米ルイジアナ州立大学の神経科学者ジョン・カプリオ。「味蕾は1820年代に魚から初めて発見されました。哺乳類で味蕾が見つかったのは、その40年後です」とカプリオは話す。「私たちは、水中で進化した祖先の系譜を引いているんです」
  • ニューヨーク州のアメリカ料理大学(CIA)では、学生が新たな食品を開発しようと奮闘中。溶かしたチーズを遠心分離機にかけた後、液体窒素で凍らせ、粉状にする。食品の移動販売車で利用できる、おいしいチーズソースの粉末を開発するのが目標だ。
  • <b>食材の幅を広げる</b><br>基本の味に対する反応は生来のものだが、風味の主な要素であるにおいへの反応は、経験から学ぶ。いったん学んだ反応を変えるには、どうすればいいのか。コペンハーゲンのNPO、ノルディック・フード・ラボのチームは、アリや魚の内臓など、慣れない食べ物に対する偏見を克服しようと、調理法を探っている。
  • 魚の内臓は塩漬けにし、加熱してから、発酵させて魚醤(ぎょしょう)を作る。「私たちは風味にこだわっています。おいしくなる調理法を見つければ、食材の幅が広がるからです」と、ノルディック・フード・ラボの主任研究員ジョシュ・エバンスは話す。
  • <b>動物になった気分で</b><br>客が思い思いの動物にふんしたこの供宴は、ロンドンのフードアーティスト「ボンパス&パー」がオーストラリアのタスマニアで開催したものだ。彼らは「風味に没入する体験」をモットーに、風変わりな食の催しを企画している。
  • 「ボンパス&パー」の供宴で、参加者は動物の血に似せたカクテルを飲みながら、同席者のにおいをくんくん嗅ぎ、料理をがつがつ食べる。味覚は食べられる物を見つけ、毒を避けるために発達した感覚だが、現代では、味覚を案内役に豪勢な食の冒険に挑む、こうした人たちもいる。

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