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太平洋に面したカナダの西海岸に、海辺で食べ物をあさるオオカミがいる。島から島へと泳いで渡り、サケやアシカなど、あらゆる海の幸を食べる。

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カナダ西海岸 海辺のオオカミ

太平洋に面したカナダの西海岸に、海辺で食べ物をあさるオオカミがいる。島から島へと泳いで渡り、サケやアシカなど、あらゆる海の幸を食べる。

文=スーザン・マグラス/写真=ポール・ニックレン

 カナダの海辺で、オオカミがサケを食べていた。
 2000年代の初頭、そんな光景を目にして興味をもったのが、カナダ人生物学者のポール・パケットと、環境保護活動家で写真家のイアン・マカリスターだ。2人は地元の先住民の協力を得て、大学院生のクリス・ダリモントを雇い、調査に取り組んだ。ダリモントは沿岸部にある先住民の居留地、ヘイルツクに研究エリアを絞った。海が3分の1を占めるこの一帯は、陸地にもほとんど道路が通っていない。トウヒやヒマラヤスギの高木が密生し、土地の大半は急斜面だ。彼らはオオカミから血液と体毛を採取する従来型の研究手法をとらなかった。

フジツボを食べ、アシカを襲う

「私たちが採集したのは糞です」と、ダリモントが説明してくれた。オオカミの糞は体毛と同様、生息域や性別、食べ物、遺伝子など、さまざまな情報を含むデータの宝庫だという。「オオカミはシカのようにところかまわず糞をするわけではありません。目的をもって、特定の場所に糞を残すのです」。オオカミは肛門の腺から出る分泌物を糞に混ぜ、仲間に向けてさまざまなメッセージを伝えている。

 10年間かけておよそ5000キロもの距離を移動し、7000個もの糞のサンプルを集めた。高圧の蒸気で滅菌処理を施し、洗浄し、サンプル用のポリ袋に入れ、ラベルを貼って分析していく。その結果、オオカミの生態が少しずつ明らかになってきた。

 カナダ本土の沿岸部に生息するオオカミから収集されたデータは、多くの地元住民が前から知っていたことを裏づけた。オオカミはサケを食べていたのである。産卵期のサケは、オオカミの食料の4分の1を占めていた。

 残りのデータからは、驚くべき事実が明らかになった。沿岸部の島々に生息するのはごく普通のオオカミだろうと、ダリモントとパケットは考えていた。シカを食べ尽くしたオオカミが、新しい生息地を求めて移動してきたのではないかと推測していたのだ。ところがオオカミたちのなかには、シカどころかサケもいない沖合の島で一生を終えるものもいることがわかった。こうしたオオカミは、島々に生息するオオカミ同士で交尾して繁殖しているとみられる。

 彼らの食料は、フジツボなどの甲殻類や、海藻のケルプに産みつけられたニシンの卵、浜に打ち上げられたクジラの死骸などだ。海に泳ぎ出て素早く岩場に登り、そこで日光浴中のアザラシやアシカを襲うこともある。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年10月号でどうぞ。

編集者から

 ナショジオの写真家でオオカミといえば、ジム・ブランデンバーグが有名です。カナダのエルズミア島で撮影したホッキョクオオカミや、米国ミネソタ州の森にすむシンリンオオカミの写真を目にしたことのある方も多いでしょう。この特集は、そのブランデンバーグではなく、ポール・ニックレンが担当しました。ブランデンバーグがオオカミそのものに魅了されて兄弟のように感じていたのに対して、極圏を中心としたさまざまな野生動物の撮影を得意とするニックレンの写真は、生態系のなかで生きるオオカミを俯瞰(ふかん)してとらえているように感じます。サケをくわえて草むらを歩くオオカミの写真には、意表を突かれました。(編集N.O)

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