10年近い旅を経て、NASAの無人探査機ニューホライズンズが冥王星に大接近。謎に満ちたこの準惑星は、驚くべき発見をもたらすと期待されている。

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はじめての冥王星

10年近い旅を経て、NASAの無人探査機ニューホライズンズが冥王星に大接近。謎に満ちたこの準惑星は、驚くべき発見をもたらすと期待されている。

文=ナディア・ドレイク/イラスト=ダナ・ベリー

 私たちは冥王星があることは知っていても、その実態について、現時点ではほとんど何も知らない。
 だが、7月14日にはこうした現状が一変する。NASAの無人探査機ニューホライズンズが約50億キロの旅を経て、この極寒の準惑星からわずか1万2500キロの距離にまで接近するのだ。いったい何が観測できるのか。唯一確実に言えるのは、冥王星が間違いなく人々を驚嘆させるということだ。
「私たちがこれまで思い描いてきた冥王星のイメージは、煙のように消えてしまうでしょう」。ニューホライズンズ計画の主任研究員アラン・スターンはそう語る。

「準惑星」に降格された天体

 冥王星はいまだに私たちにはよくわからない天体だ。ニューホライズンズが打ち上げられた2006年、冥王星は太陽系の惑星リストから外され、新たに「準惑星」に分類された。そもそも冥王星は発見される前から一筋縄ではいかない天体だった。

 海王星の外側に別の惑星が存在する可能性は、早くも1840年代には指摘されていた。
 20世紀の初頭には、この未知の惑星を発見しようという競争が活発になる。海王星の発見から実に半世紀以上の歳月を経て、新惑星発見の栄誉を手にするチャンスだった。

 米国ボストン生まれの大富豪パーシバル・ローウェルは、この未知の天体を「惑星X」と名づけた。そして私財を投じてアリゾナ州に天文台を造り、1905年にそこを惑星X探索の拠点とする。だがローウェルは1916年、惑星Xを確認することなく他界する。

 やがて時がたち、1930年2月18日の午後遅く、当時24歳のクライド・トンボーがローウェル天文台で持ち場に就いていた。

 ブリンク・コンパレーターという光学装置を操作して、おびただしい数の星をつぶさに眺めていたトンボーは、あることに気づいた。6日間の間隔を置いて撮影した2枚の写真のなかに、位置が動いている小さな光の点があるのだ。光の点は、1枚目の写真では明るく輝く二つの星の左側にあるが、2枚目の写真ではそれらの星の数ミリ右側へ移動していた。トンボーは2枚の写真を何度も見比べ、その光の点が確かに位置を変えているのを確認した。彼は定規をつかむと、光の点の正確な移動距離を測った。それからもう少し早い時期に撮影された別の写真を取り出し、光の点を探した。別のカメラで撮影した写真にもこの光の点が写っていることを、拡大鏡で確認した。45分後、トンボーは確信した。
 ついに惑星Xを発見した。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2015年7月号でどうぞ。

編集者から

 冥王星が太陽系の惑星のリストから外されたのは2006年のこと。しかし「降格」された後も、冥王星は魅力や重要性を失いませんでした。それどころか、ますます人を引きつける天体となっています。
 この特集を監修していただいた国立天文台 副台長の渡部潤一先生は、著書『新しい太陽系』のなかで、次のように語っています。「冥王星は新しい種族『準惑星』の代表、さらには『冥王星型天体』の代表に据えられた、という側面が大きいのである。技術の進歩によって、新しい種類の天体がたくさん見え始めて、われわれの太陽系はきわめて豊かに、さらに空間的にも広がりつつある」
 実際、公転軌道が大きく傾いていたり、衛星カロンと「二重星」を構成していたり、冥王星はほかの太陽系の惑星とはまったく違う特徴をもっています。つい最近も、ハッブル宇宙望遠鏡による新発見のニュースが報じられました(冥王星の「踊る」衛星を発見)。
 このように冥王星自体、知れば知るほどおもしろい天体なのですが、それと同時にこの準惑星の地表の様子などを分析すれば、原始の太陽系が形成されていった過程を知る手がかりになるともいわれています。探査機ニューホライズンズがどんなデータを送ってくるのか。本当に楽しみです。(編集N.O)

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