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日本の百年

- JANUARY 2019 -

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

そろって我慢の3分間、草津の湯治

 湯船にじっと身を沈める20人余りの男性たち。群馬県にある草津温泉の浴場だ。「湯長(ゆちょう)の号令で全員が一斉に入浴し、熱い湯の中で3~4分間身動きせず、号令とともに湯船から出る」と写真の説明にある。草津独特の入浴法「時間湯」の光景だろう。同じ1908(明治41)年4月号に掲載された浴場の外観から、熱乃湯を写したものと思われる。


 時間湯は「湯長」と呼ばれる指導者の下で決まった時間帯に行われ、現在では1回の入浴は3分間が上限とされている。草津温泉は古くから人気の湯治場だが、高温かつ強酸性の泉質で、湯もみで温度を下げても48℃とまだ熱く、長湯は禁物だ。一説には、多数の湯治客が利用する浴場で事故を防ぐために、時間湯が発達したのだと考えられている。国語学者の大槻文彦は1879(明治12)年に熱乃湯を訪れたとき、50~60人が「隊長」の指示に従って2~3分間入浴する光景を見たと紀行文「上毛温泉遊記」に記しており、当時すでに時間湯があったことがうかがえる。


 草津の時間湯は最盛期には6カ所の浴場で行われていたが、現在では2カ所のみ。古くから皮膚疾患や外傷に効くといわれ、最近ではアトピー性皮膚炎や精神疾患の療養に来る人もいるという。

写真: PHOTOGRAPHER UNKNOWN/NATIONAL GEOGRAPHIC

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