ぽかんと見上げる東大寺の大鐘

英語版1959年12月号より

2019.11.29
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ナショナル ジオグラフィック英語版1959年12月号より。(写真: MELVILLE BELL GROSVENOR)

「うわあ、大きい」という声が聞こえてきそうな表情の女の子。見上げているのは、奈良市の東大寺にある大鐘だ。口径2.71メートル、重さ26.3トンにもなる梵鐘(ぼんしょう)は、奈良時代の752年に鋳造されたといわれ、「奈良太郎」の愛称で親しまれている。

 撮影したのは、当時の英語版編集長で、ナショナルジオグラフィック協会の会長でもあったメルビル・ベル・グロブナーだ。妻のアンとともにパンアメリカン航空の旅客機に乗り、米国の首都ワシントンからフランス、パキスタン、インド、タイ、カンボジア、ベトナム、香港、日本、ハワイを50日でめぐる世界一周の旅をした。

 もともと写真家としても活躍していたメルビルは、各地で暮らす人々にレンズを向け、合計2100枚のカラー写真を撮影。その写真をふんだんに盛り込んだ紀行「世界をめぐった一年」を、1959(昭和34)年12月号に35ページにわたって掲載した。日本では東大寺を訪れたほか、日光東照宮や鎌倉大仏を見物し、箱根から富士山を眺め、京都ですき焼きに舌鼓を打ち、保津川下りを楽しんだ。

 東大寺の大鐘は「深く心地よい音を響かせる」と、当時の写真の説明にある。毎年、除夜には一般の参拝者が先着順でつくことも可能だ。今年もまた、奈良太郎の深い余韻が、新年を迎える古都を包み込むのだろう。

この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2019年12月号に掲載されたものです。

写真: MELVILLE BELL GROSVENOR

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