美しくて強い橋

英語版1932年2月号より

2021.08.27
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ナショナル ジオグラフィック英語版1932年2月号より。写真:EWING GALLOWAY
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 水面に優美なアーチを映しているのは、東京の神田川に架かる聖橋(ひじりばし)。関東大震災後の復興事業の一環として建設された鉄筋コンクリートアーチ橋で、1927(昭和2)年に完成した。ニコライ堂(東京復活大聖堂)と湯島聖堂という、二つの聖堂を結ぶ。川の右側は現在のJR御茶ノ水駅がある場所だ。大小のアーチを組み合わせた重厚で美しいデザインは、土木学会の土木遺産にも認定されている。

 聖橋のような「復興橋梁」は東京だけで425橋あり、そのなかには隅田川の永代橋や清洲橋など、国の重要文化財もある。こうした名橋がこの時期に建設されたのはなぜだろうか。復興事業の記録である『帝都復興事業誌 土木篇』を調べると、こんな「設計主旨」が書かれていた。市街地に架けられる橋は「実用的構造物」であるとともに「都市の公共的構造物」として「適当の美観」を保つ必要がある、と。橋として必須の機能だけでなく美しさも求めたこの方針が、人々に長く愛される橋を生んだのだろう。

 6月下旬に聖橋を訪ねてみると、橋の手前で工事が行われ、写真のように遠くから壮麗な姿を望むことはできなかった。ならば近づいてみようと歩道を歩き、橋のたもとからアーチを見上げると、補修を終えて艶やかになった表面が陽光を浴びて神々しく輝いていた。

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