写真: MARY A. NOURSE
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 ここは東京にあった練り歯磨きの工場。白衣のような制服を着て作業台と向き合っているのは、大勢の若い女性たちだ。コンクリート造りの近代的な建物で、女性たちはチューブに練り歯磨きを詰め、ラベルを貼り、製品を箱詰めしていく。1938(昭和13)年1月号の特集「日本の働く女性たち」に掲載された一枚。

 特集の筆者でこの写真を撮影したメアリー・A・ナースのレポートによると、この工場の従業員は若い女性が350人に対し、男性は70人だという。女性たちは朝7時から夕方5時まで、立ちっぱなしで作業している。座れるのは、40分の昼休みと、1日2回ある10分の休憩時間だけだ。さらに女性たちは週1回、勤務時間外に自分の制服を洗濯しなければならないと、工場の責任者は話していた。

 筆者のナースは、製糸工場でもたくさんの若い女性たちが立ちっぱなしで、お湯に漬かった繭(まゆ)から糸を繰り出す作業をしているのを見た。大阪近郊の靴下工場を訪れたときには、女性たちが糸くずの舞う工場内でマスクをせずに働いていた。現代の自動化が進んだ工場を見たら、彼女たちはどう感じただろうか?

この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2020年9月号に掲載されたものです。

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