明治時代のレインカバー

英語版1906年4月号より

2021.05.28
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ナショナル ジオグラフィック英語版1906年4月号より。写真: DAVID FAIRCHIL
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 笠をかぶった男性の横には荷車。その荷物には雨よけの大きな覆いがかぶせられている。これが現代ならば、合成樹脂でできた青や緑のシートを思い浮かべるところだが、この写真が掲載されたのは、100年以上前の1906(明治39)年4月号の特集「外来の植物」だ。その頃の覆いには、どんな素材が使われていたのだろうか。

 写真の説明を読んでみると、Mitsumata paperとある。低木のミツマタを原料とした紙のことだ。エゴマ油を塗って、水をはじく油紙に加工され、4年も使われていると説明に書かれている。

 特集の筆者で、米農務省の植物学者デビッド・フェアチャイルドは、日本の農業事情を調査するため、1903年に来日した。そのときの記録は1904年5月号の特集「日本に学ぶ」で詳しく紹介されている。荷車で茶葉を運んでいた農夫は、大雨に降られると、油紙でできた覆いを荷車から取り出し、荷物にかぶせたという。大都市で働く人力車の車夫たちは、油紙の雨がっぱを着て仕事をしていた。

 紙が丈夫で水をはじき、そのうえ布のように軽くて柔軟であることは、米国人には驚きだったようだ。傘や提灯(ちょうちん)、障子も含め、紙をさまざまな形で利用する日本人に、フェアチャイルドは感心していた。

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