自然木でできた大鳥居

英語版1911年11月号より

2022.04.28
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ナショナル ジオグラフィック英語版1911年11月号より(白黒写真に手で彩色)(写真:WILLIAM W. CHAPIN)
ナショナル ジオグラフィック英語版1911年11月号より(白黒写真に手で彩色)(写真:WILLIAM W. CHAPIN)
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 潮が引いた海の上に立っているのは、広島県にある厳島神社の大鳥居。1911(明治44)年11月号に掲載された1枚で、「古い丸太が絶えず波に洗われて浸食されている様子に注目」との説明が添えられている。

 大鳥居が創建された年代は不明だが、鳥居に関する最古の記録は12世紀までさかのぼる。それを初代とすると、現在の大鳥居は8代目に当たるとされている。8代目の建立は1875(明治8)年。屋根を支える2本の主柱にはクスノキの自然木、主柱を支える4本の袖柱にはスギの自然木が使用されている。柱の根元は地中に埋められているわけではなく、砂の上に置かれているだけだ。それぞれの柱の基礎には松杭が30~100本ほど打ち込まれ、およそ60トンにもなる大鳥居の総重量を支えている。

 建立当初、大鳥居は塗装されていなかった。しかし、海水に漬かる柱の下部と基礎部で腐朽による劣化が徐々に進み、1909 ~ 11年に大がかりな補修が行われた。このとき基礎部はコンクリートで補強され、木部には丹塗りが施されて、大鳥居は現在のような朱色となった。

 その後も柱には空洞化や虫害などの劣化が確認され、大鳥居はたびたび補修されてきた。2019年には新たな修理工事が始まり、貴重な文化遺産を守る取り組みは今も続いている。

この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2022年5月号に掲載されたものです。

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