ドライブ旅で脱輪

英語版1933年3月号より

2020.04.28
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ナショナル ジオグラフィック英語版1933年3月号より。写真:W.ROBERT MOORE
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 田園の一本道で自動車が脱輪して立ち往生している。トラックとすれ違おうとして道路の端に寄ったとき、路肩が崩れて、用水路に落ちそうになったのだ。25人ほどの見物人が手を貸してくれたものの、車を引き上げるのに2時間以上かかったという。1933(昭和8)年3月号の特集「日本の車道」の一枚。詳しい場所は不明だが、写真アーカイブに保管されているプリントの裏には、「岡山の西」と記載されている。

 当時は道路よりも鉄道の整備が進んでいた時代。舗装道路は東京と横浜の間など、ごくわずかな区間しかなかった。そんななか、特集の筆者で写真家のW・ロバート・ムーアは自動車で日本各地を旅したいと考えた。詳しいルートは書かれていないが、東京から京都まで東海道をめぐったほか、日光や十和田湖も訪れ、さらには神戸から下関までの旅もした。

 未舗装の道路には牛車やたくさんの自転車、荷物を背負った人々がのんびりと行き交い、なかなか道を譲ってくれない。普段は礼儀正しい人たちなのに、「道を譲り合う精神がほとんど見られない」とムーアはぼやき、車の増加に道路の整備や交通マナーの教育が追いついていないと書いている。道路事情に泣かされたとはいえ、各地で目にした風景は「苦労に十分値するものだった」と満足そうに振り返っている。

この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2020年5月号に掲載されたものです。

写真:W.ROBERT MOORE

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