車内はすし詰め、大阪の通勤ラッシュ

英語版1970年3月号より

2020.03.27
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ナショナル ジオグラフィック英語版1970年3月号より。写真:THOMAS J. ABERCROMBIE
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 鉄道は環境にやさしい乗り物だといわれるが、利用者にとっては必ずしもやさしいとは限らない。この写真は50年前の1970(昭和45)年3月号の特集「関西」に載った一枚。大阪で撮影された朝のラッシュアワーだ。特集の筆者で写真家のトマス・J・アバークロンビーは、朝に鶴橋駅から乗ったとき「学生アルバイトの『押し屋』が、私たちを車内へ押し込んでくれた。これほどのすし詰め状態は経験したことがない」と書いている。

 1960年代の新聞を調べてみると、当時の国鉄や鉄道会社が輸送力の増強に尽力する一方で、大阪や東京では冬の「着ぶくれラッシュ」を緩和するために、政府が時差通勤を呼びかけているとの記事が目に止まった。定員の3倍近い乗客が乗っていた路線もあったようで、超満員の乗客の圧力で窓ガラスが割れる事故も報じられている。

 幸い鉄道の輸送力は増強され、2018年の平均混雑率は1975年と比べて大阪圏で4割ほど、東京圏では3割ほど低下した。ただ、乗る路線や車両、時間帯によってはひどい混雑を経験することもある。東京都では、時差通勤を呼びかける取り組みが今も行われている。50年後には、満員電車はなくなっているだろうか。

この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2020年4月号に掲載されたものです。

写真:THOMAS J. ABERCROMBIE

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