火鉢のそばで聴くラジオ

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

2022.02.25
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本誌未掲載(写真:KIYOSHI SAKAMOTO)
本誌未掲載(写真:KIYOSHI SAKAMOTO)
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 女の子が右手に持っている黒い装置は、鉱石ラジオ。「大阪中央放送局(JOBK)からの放送を聴いている」との説明が写真に添えられている。JOBKというのは、現在のNHK大阪放送局のコールサインだ。

 日本で最初にラジオ放送が始まったのは東京で、1925(大正14)年3月22日のことだった。それから2カ月余り後の6月1日に、大阪でJOBKが開局する。当時はまだ放送局舎ができておらず、大阪の三越呉服店の屋上を無料で借り受けて、仮のスタジオや送信施設を設営したという。

 JOBKの記念すべき最初の番組は、大阪市内にある坐摩(いかすり)神社の神官による祝詞だった。役員が列席するなかで、午前8時5分から25分間も続いた。その後は株式や米、絹糸の相場が伝えられ、天気予報を挟んで、正午には大阪市音楽隊による「君が代」などの演奏が放送された。

 写真の撮影時期は不明だが、撮影者の坂本潔が1920年代から30年代前半にかけて本誌で活躍していたことを考え合わせると、大正末期から昭和初期に関西で撮影されたとみていいだろう。オートクロームという技法を用いたカラー写真だ。ちなみに、右下に置かれている雑誌のタイトルを拡大して調べると、「少年世界」と読める。

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