どう猛な肉食恐竜さえ震え上がらせたかもしれない、装甲に覆われた恐竜「ズール」の化石が公開された。新たに博物館に展示された頭や尾、さらに未公開で現在クリーニング作業の装甲の写真を紹介する。
文＝MICHAEL GRESHKO／写真＝MARK THIESSEN／訳＝鈴木和博
ギャラリー：装甲車のような恐竜ズール、強力な尾や装甲 写真5点
アンキロサウルス類の恐竜の特徴は尾にある。尾の先端の骨が幅60センチほどのこぶのように膨らんでおり、これを使って捕食者や同種の仲間を撃退していたと考えられている。そこから、ラテン語で「すねを破壊するもの」という意味を持つ「クルリバスタトル」という種名がつけられた。（PHOTOGRAPH MARK THIESSEN）
ズール・クルリバスタトル（Zuul crurivastator）の頭骨には、骨の突起がついている。今まで見つかっている鎧竜の化石の中でも、ここまで完全なものは珍しい。恐ろしげな外見から、映画『ゴーストバスターズ』に登場する魔物にちなんだ名前がつけられた。ただし、この恐竜は草食恐竜だ。（PHOTOGRAPH MARK THIESSEN）
驚くべきことに、ズールのとげを構成する骨板まで、元の位置のまま化石になっていた。この骨板（オステオダームまたは皮骨板と呼ばれる）は、腐敗にともなって皮からはがれ落ちることが多い。（PHOTOGRAPH MARK THIESSEN）
リサーチ・キャスティング・インターナショナル社で化石のクリーニングを担当しているアメリア・マディル氏。ズールの背中の装甲から慎重に岩片をはがしていく。マディル氏が率いる5人の技術者が、1年がかりのクリーニング作業にあたっている。（PHOTOGRAPH MARK THIESSEN）
ズールの化石では、装甲だけでなく、ケラチン質の鞘（さや）に覆われているオステオダームなどの軟組織まで保存されていた。ケラチンは、サイの角や人間の爪を形成するタンパク質だ。（PHOTOGRAPH MARK THIESSEN）
