「私たち人間は、自分たちは地球を支配できる巨人だと思い込んでいますが、本当は蚊のような取るに足らない存在なんです」

 1989年、イタリア半島の西方、地中海に浮かぶサルデーニャ島とコルシカ島の間で船のエンジンが故障し、錨が切れて漂流していた81歳のマウロ・モランディ氏の双胴船は、ブデッリ島に流れ着いた。そこで出会った島の管理人が2日後に引退すると聞くと、既に社会に幻滅しきっていたモランディ氏は、船を売って管理人の仕事を受け継いだ。

 以来31年間、氏はたったひとりでこの島に住み続けている。

文=Gulnaz Khan/写真=Michele Ardu/訳=ルーバー荒井ハンナ