ハッブル宇宙望遠鏡は、長年にわたって宇宙の画像を送り続け、人々を魅了してきました。そのなかから、専門家が厳選した画像など本誌未掲載もあわせた50の傑作画像を順次紹介していきます!
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不屈の望遠鏡がとらえた、あざやかな宇宙の画像約150点を収録!全ての宇宙ファンに贈る1冊。
定価:本体3000円+税
宇宙を彩る花火
塵(ちり)が渦を巻くタランチュラ星雲内部の空洞を、生まれたばかりの輝く星々が照らす。ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた天体画像の公開を担当するゾルタン・リベイは、この画像の魅力は躍動感にあるという。「星々がまさに誕生し、死滅している光景です」 NASA; ESA; F. PARESCE, INAF-IASF, BOLOGNA, ITALY; R. O’CONNELL, UNIVERSITY OF VIRGINIA; WIDE FIELD CAMERA 3 SCIENCE OVERSIGHT COMMITTEE
星の力
馬頭星雲の内部をとらえた、きわめて精細な赤外線画像。ハッブル望遠鏡の広視野カメラ3で撮影した。この星雲は古くから多くの天文学者によって観測されてきたが、背景が明るく輝いているために、これまでは明るい背景との対比でもっぱら暗くしか見えなかった。ハッブル望遠鏡は、星間を漂う塵やガスのとばりに包まれたこの天体の素顔を明らかにしてみせた。 4点の画像をモザイク合成した。NASA; ESA; HUBBLE HERITAGE TEAM, STSCI/AURA
わし星雲内の指の形をしたガスと塵
へび座に位置するわし星雲(M16)の拡大画像がとらえた低温のガスと塵からなる柱の内側には、高温星の電離放射線を浴びて蒸発しつつあるガスのグロビュール(EGGs)が隠れている。 NASA, ESA, AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI/AURA)
キャッツアイ星雲
未知の星雲や彗星を探索した18世紀の天文学者ウィリアム・ハーシェルは、惑星のような円盤像に見える小型でぼんやりとした天体をいくつも見つけた。ハーシェルが用いた「惑星状」という表現がこの種の天体の分類名になった。 NASA, ESA, HEIC, AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI/AURA). ACKNOWLEDGMENT: R. CORRADI (ISAAC NEWTON GROUP OF TELESCOPES, SPAIN) AND Z. TSVETANOV (NASA)
反射星雲NGC1999
有名なオリオン大星雲の近くに位置するこの星雲までの距離はおよそ1500光年。反射星雲は自らは目に見える光を発することなく、街灯の周囲に漂う霧のように、恒星の光を反射したり散乱させて輝いている。 NASA/ESA AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI)
ソンブレロ銀河M104
地球から見るソンブレロ銀河は、その回転面をほぼ真横から眺める形になる。ハッブル望遠鏡が撮影したこの画像では渦巻き構造がわかる。 NASA AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI/AURA)
銀河M82
スターバースト銀河M82は衝突している最中と思われる。青く輝く円盤部を包み込むように、断裂した赤色の雲が光を放っている。 NASA, ESA AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM STSCI/AURA). ACKNOWLEDGMENT: J. GALLAGHER (UNIVERSITY OF WISCONSIN), M. MOUNTAIN (STSCI) AND P. PUXLEY (NSF)
ウルトラ・ディープ・フィールド画像がとらえたはるか遠方の銀河
NASA, ESA, G. ILLINGWORTH, D. MAGEE, AND P. OESCH (UNIVERSITY OF CALIFORNIA, SANTA CRUZ), R. BOUWENS (LEIDEN UNIVERSITY), AND THE HUDF09 TEAM
アンテナ銀河の中の星団と超星団
NASA, ESA, AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI/AURA)-ESA/HUBBLE COLLABORATION. ACKNOWLEDGMENT: B. WHITMORE (SPACE TELESCOPE SCIENCE INSTITUTE)
エスキモー星雲
NASA, ANDREW FRUCHTER AND THE ERO TEAM [SYLVIA BAGGETT (STSCI), RICHARD HOOK (ST-ECF), ZOLTAN LEVAY (STSCI)]
銀河のワルツ
互いの重力の作用で形がゆがんだ、二つの渦巻銀河。Arp 273と呼ばれている。地球から3億光年離れた二つの銀河は、相互に少しずつ接近している。「私にはこの二つの銀河がダンスを踊っているように見えます。両者は数十億年をかけて互いの周りを回り、やがて一つになるのです」と専門家は語る。 NASA; ESA; HUBBLE HERITAGE TEAM, STSCI/AURA
わし星雲
NASA,ESA,AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM(STSCI/AURA)
M100銀河の中央部
M100はおとめ座銀河団に属する多数の銀河の1つで、地球から約5600万光年の距離に位置している。 NASA, STSCI
おたまじゃくし銀河
銀河系から遠く離れた4億2000万光年の位置にあるおたまじゃくし銀河は、突入してきた別の銀河の潮汐効果によって歪められた渦巻き銀河だ。 NASA, H.FORD(JHU),G.ILLINGWORTH(UCSC/LO),M.CLAMPIN(STSCI),THE ACS SCIENCE TEAM,AND ESA
らせん状星雲
みずがめ座のらせん状星雲は、地球からとても近いため、内部構造を観察するのにうってつけの惑星状星雲である。ただし、見た目の大きさが満月の約半分と大きいため、観測が厄介ともいえる。ACSで撮影した複数の画像を合成したうえで、キットピーク国立天文台の90センチ望遠鏡で撮影した全体画像データと合わせた。 NASA,ESA,C.R.ODELL(VANDERBILT UNIVERSITY),M.MEIXNER AND P.MCCULLOUGH(STSCI)
NGC5866銀河
りゅう座の方向、地球から4000万光年以上離れた位置にある渦巻銀河を真横から眺めた姿。 NASA,ESA,AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM(STSCI/AURA).ACKNOWLEDGMENT:W.KEEL (UNIVERSITY OF ALABAMA,TUSCALOOSA)
かに星雲の合成画像
これまでに少なくとも3機の強力な宇宙望遠鏡でかに星雲を観測してきた。この画像は、ハッブル望遠鏡(緑と紺青色)、チャンドラX線衛星(明るい青)、スピッツアー赤外線望遠鏡(赤)の観測結果を合成して作成された。 NASA,ESA,J.HESTER AND A.LOLL(ARIZONA STATE UNIVERSITY)
M51の広視野画像
ACS、WF/PC2、NICMOSで撮影した多数のM51画像をつなぎ合わせて作成した広視野画像だ。M51で最も目立つ構造、渦状腕をとらえたこの画像からは、スコビルのチームの研究テーマである、銀河レベルでとらえた恒星の進化過程がよくわかる。 NASA,ESA,S.BECKWITH(STSCI),AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM(STSCI/AURA)
カシオペヤ座にある超新星残骸
ちょうどアイザック・ニュートンが反射望遠鏡の製作に成功した1667年頃、ある超新星の光が地球に届いた。実際には1万年ほど前に爆発した星の光がはるばる旅をして地球までやって来たのだ。このすさまじい爆発で誕生したのが、カシオペヤ座Aと名付けられた、我々が住む天の川銀河で最も新しい超新星の残骸である。光学望遠鏡で眺めるカシオペヤ座Aは10光年ほどに広がった暗い天体にすぎないが、電波望遠鏡で観測したカシオペヤ座Aは全天で太陽に次いで2番目に強力な電波源である。このハッブル望遠鏡の画像は、ガス状の光芒が連なる複雑な構造を詳しくとらえている。色の違いは光を出す元素の違いを反映しており、赤い光は硫黄分が多い組成を、紺青色の輝きは酸素が多いことを意味している。 NASA AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM(STSCI/AURA)
初期宇宙の銀河団
NASA,ESA,M.J.JEE AND H.FORD(JOHNS HOPKINS UNIVERSITY)
イバラの茂み
楕円銀河ケンタウルス座Aの円盤部を黒く横切る塵の帯の一部。細く伸びた塵の蔓が複雑に絡まり合い、そのあちこちで星形成領域がピンク色に輝いている様子は、イバラの茂みのようだ。ふだんは塵に隠れて見えないが、紫外線~近赤外線での観測結果を合成した画像では、高密度の塵の帯に、青く輝く若い星々がちりばめられているのがわかる。NASA, ESA, AND THE HUBBLE HERITAGE (STSCI/AURA)-ESA/HUBBLE COLLABORATION. ACKNOWLEDGMENT: R. O’CONNELL (UNIVERSITY OF VIRGINIA) AND THE WFC3 SCIENTIFIC OVERSIGHT COMMITTEE
オリオン大星雲
オリオン大星雲は、オリオン座の三つ星の近くに見える。塵とガスが荒れ狂うこの星雲の深部では、数千個の星々が生まれようとしている。地球から星形成領域までの距離は1500光年だ。NASA,ESA, M. ROBBERTO (SPACE TELESCOPE SCIENCE INSTITUTE/ESA) AND THE HUBBLE SPACE TELESCOPE ORION TREASURY PROJECT TEAM
極彩色の翼に抱かれて
この合成画像では、小マゼラン雲は極彩色の渦のように見える。小マゼラン雲は矮小銀河に分類される小さな銀河だが、地球からの距離が近いため、南半球や赤道付近では裸眼で見ることができる。NASAが1999年に打ち上げたチャンドラX線観測衛星は、最近、小マゼラン雲の「ウィング(翼)」領域の観測を行い、銀河系外の太陽に似た若い星が発するX線を初めて捉えた。NASA, ESA, CXC AND THE UNIVERSITY OF POTSDAM, JPL-CALTECH, AND STSCI
天空の羽
レース状の羽を広げたチョウのように見えるが、これは死にゆく恒星が外層のガスを噴出している姿だ。ハッブル望遠鏡が観測した天体のなかでも人気が高いのが、このNGC 6302のようなユニークで色鮮やかな惑星状星雲の画像。「このような天体は、きわめて複雑な力が作用して生まれます」と専門家は語る。NASA; ESA; HUBBLE SM4 ERO TEAM
網状星雲
1991年に撮影されたこの画像は、はくちょう座の網状星雲の一部を捉えたものだ。網状星雲は約1万5000年前の超新星爆発の残骸で、画像に写っている部分は、膨張を続ける衝撃波の外縁部である。衝撃波は星間ガスの雲に衝突してこれを輝かせ、ガスの組成に関する情報をもたらす。J.J. HESTER (ARIZONA STATE UNIVERSITY) AND NASA
神秘の山
地球から7500光年の彼方にあるりゅうこつ座イータカリーナ星雲には、塵とガスからなる色鮮やかな「ミスティック・マウンテン(神秘の山)」がある。イータカリーナ星雲は星形成の舞台であり、その内部で生まれたばかりの超高温の星からの強烈な放射と荷電粒子が物質を吹き飛ばしている。ごつごつした岩山のように見えるのは、こうした侵食作用に耐えられる高密度領域だ。NASA, ESA, AND M. LIVIO AND THE HUBBLE 20TH ANNIVERSARY TEAM (STSCI)
オメガ星団のパノラマ画像
ケンタウルス座オメガ星団のパノラマ画像。オメガ星団は約1000万個の星からなる巨大な球状星団で、この画像には中心部分の約10万個の星が写っている。球状星団は年老いた星々が重力によって束縛されている集団で、ライフサイクルの重要な段階にあるさまざまな星が見られる。NASA, ESA, AND THE HUBBLE SM4 ERO TEAM
ふわふわな銀河
おおぐま座の渦巻銀河NGC2841は、ぼんやりした切れ切れの渦状腕を持つ羊毛状渦巻銀河である。地球から4600万光年の彼方にあり、他の渦巻銀河に比べて渦状腕での星形成率が低いことが特徴だ。NASA, ESA, AND THE HUBBLE HERITAGE (STSCI/AURA)-ESA/HUBBLE COLLABORATION. ACKNOWLEDGMENT: M. CROCKETT AND S. KAVIRAJ (OXFORD UNIVERSITY, UK), R. O'CONNELL (UNIVERSITY OF VIRGINIA), B. WHITMORE (STSCI), AND THE WFC3 SCIENTIFIC OVERSIGHT COMMITTEE
有終の美
長いリボンを巻きつけたクリスマスツリー飾りのようなこの天体は、地球から数千光年の距離にある惑星状星雲NGC5189である。この画像は、2012年のクリスマス前に発表された。NGC5189のような惑星状星雲は、われわれの太陽のような平均的な大きさの星が、一生の終わりに短い時間だけ見せる姿だ。NASA, ESA, AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI/AURA)
ステファンの五つ子
ここに写っているのは「ステファンの五つ子」と呼ばれる5つの銀河だ。一見、4つの銀河が多重衝突しようとしている画像のようだが、よく見ると、真ん中の銀河は2つの銀河が絡まり合ったものであることがわかる。左上の青みがかった銀河は他の銀河よりはるかに手前にあり、地球からの距離は7分の1しかない。遠方にある4つの銀河が赤みがかって見えるのは、年をとった星々が集まっているからだ。NASA, ESA, AND THE HUBBLE SM4 ERO TEAM
カリーナ星雲
ハッブル宇宙望遠鏡の運用開始17周年を記念して撮影されたカリーナ星雲の広視野パノラマ像。星雲全体の4分の1ほどに相当する横幅50光年の領域をとらえた。N. Smith (University of California, Berkeley) and NOAO/AURA/NSF
回転花火
渦巻銀河M83は、地球から最も近く、最も大きい棒渦巻銀河の1つで、厚い塵の帯に明るい星々がちりばめられている。この銀河は「南の回転花火銀河」という別名を持ち、多くの超新星爆発が起きている。中心に二重の核があるように見えるのは、1個の巨大ブラックホールの周囲を星々が円盤状に取り巻いて軌道運動しているからだと考えられている。NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgement: William Blair (Johns Hopkins University)
オリオン大星雲(部分)
この総天然色のモザイク画像に写っているのは、オリオン大星雲のごく一部だ。ハッブル宇宙望遠鏡での観測により、領域内で特に明るい星から伸びている細長い構造や、若い星のまわりで雲のように膨れ上がる物質や、原始惑星系円盤などの詳細な様子が初めて明らかになった。C.R. O'Dell (Rice University), and NASA
土星の前を横切る4つの衛星
4つの衛星が土星の前を横切るところを捉えた2009年の画像。オレンジ色の巨大な衛星タイタンは土星の北極を覆う雲に大きな影を落としている。その左下の環に近いところにはミマスがあり、赤道の雲に非常に小さい影を落としている。さらに左、環の上の方に見える2つの衛星のうち明るい方はディオーネ、暗い方はエンケラドスだ。このような衛星の通過が見えるのは、14~15年に一度、土星の環をほぼ真横から見るような位置関係になるときだけだ。NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgment: M.H. Wong (STScI/UC Berkeley) and C. Go (Philippines)
ねじれた銀河
地球から見て真横を向いているESO 510-G13銀河では、銀河どうしの衝突により新しい世代の星々がいっせいに生まれてきている。銀河系のようなふつうの渦巻銀河を真横から見ると、塵や渦状腕は平らである。ESO 510-G13が画像のように強くねじれた形をしているのは、最近、近くの銀河と衝突して、それを飲み込んでいる最中であるからだ。擾乱は徐々に鎮まり、数百万年後にはふつうの形の銀河に戻っているはずだ。NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgment: C. Conselice (U. Wisconsin/STScI)
星のゆりかご
かみのけ座にある棒渦巻銀河NGC 4314の中心部分。中心核のまわりを生まれたばかりの星々の環が取り巻いているのがわかる。この環はNGC 4314銀河の中で唯一新しい星が生まれている場所であり、環を形づくる星々はどれも過去500万年以内に誕生したものだ。NGC 4314は地球からわずか4000万光年のところにあり、このような環を持つ銀河としては最も近い。G. Fritz Benedict, Andrew Howell, Inger Jorgensen, David Chapell (University of Texas), Jeffery Kenney (Yale University), and Beverly J. Smith (CASA, University of Colorado), and NASA
銀河の拡大鏡
天文学者はエイベル383銀河団を利用して、ビッグバンのわずか9億5000万年後に生まれた銀河を発見することができた。2011年にハッブル宇宙望遠鏡が撮影したこの画像では、問題の銀河は真ん中の明るい銀河のすぐ上に、小さくぼんやりした点として写っている。この銀河は「重力レンズ効果」を利用して発見された。エイベル383銀河団の非常に強い重力が周囲の時空を歪め、これが巨大な拡大鏡のような働きをすることにより、銀河団の後方にある天体からの光が曲がったり、増幅されたりしているのだ。NASA, ESA, J. Richard (Center for Astronomical Research/Observatory of Lyon, France), and J.-P. Kneib (Astrophysical Laboratory of Marseille, France). Acknowledgment: M. Postman (STScI)
レンズ状銀河
ぼんやりした明るい光の中に黒々した塵の帯があるNGC 4526銀河は、虚空に浮かぶ光輪のようなレンズ状銀河だ。レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間に位置づけられる銀河で、NGC 4526は既知のレンズ状銀河の中で最も明るいものの1つである。その中心には太陽の4億5000万倍もの質量を持つ巨大なブラックホールがある。ESA/Hubble & NASA. Acknowledgement: Judy Schmidt
青空を背景に
画像は、NGC 3324という星形成領域内のガスや塵が作り出す山や谷のような形を捉えたもの。青く輝く背景と美しいコントラストをなす暗色の塵の塊と、そこから細く立ち昇るガスは、どちらも数光年という高さである。NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgment: N. Smith (University of California, Berkeley)
「創造の柱」、再び
2015年1月、ハッブル宇宙望遠鏡はわし星雲の「創造の柱」を再び撮影した。1995年に撮影された「創造の柱」の画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の性能の高さを象徴する1枚になった。今回の画像は赤外線で撮影されているため、可視光では見通すことができなかった塵とガスを透かして見ることができる。全体に明るい星がちりばめられていて、「創造の柱」の内部で形成されている赤ちゃん星の姿も見える。NASA, ESA/Hubble and the Hubble Heritage Team
極上の美
ハッブル望遠鏡が観測した天体のなかでもとりわけ有名な、棒渦巻銀河NGC1300。青く光る若い星や、輝く中心部から渦を巻いて伸びる腕、遠くで光る数々の銀河を精細にとらえている。「我を忘れて、ただぼうぜんとしてしまう」というリベイの言葉通り、多くの人々がこの画像に魅入られた。2点の画像をモザイク合成した。 NASA; ESA; HUBBLE HERITAGE TEAM, STSCI/AURA. P. KNEZEK, WIYN
ホウグの天体
へび座にある「ホウグの天体」と呼ばれる銀河は、黄色い中心核のまわりを円形の青い環が取り巻き、その間にはほとんど星がないという、非常にめずらしい形をしている。地球からの距離は6億光年、直径は約12万光年で、銀河系よりやや大きい。黄色い中心核にある星のほとんどが古い星であるのに対して、青い環を形づくる星のほとんどが高温の若い大質量星で、20~30億年前に別の銀河がこの銀河をかすめて通ったときに誕生したと考えられている。NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgment: Ray A. Lucas (STScI/AURA)
巨大な楕円銀河
巨大な楕円銀河 NGC1316は、内部に塵の嵐が渦巻いていて、数十億年前に2つの渦巻銀河が融合することにより誕生したと考えられている。天文学者はNGC 1316内の赤い色をした星団を調べることにより、この銀河が激しい衝突によって形成されたことを確認した。NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgment: P. Goudfrooij (STScI)
超新星の爆風
宇宙に浮かぶ繊細なリボンのような不思議な天体は、銀河系内に広がる超新星残骸のガスの一部だ。西暦1006年5月1日頃、超新星爆発の光が地球に届き、アフリカ、欧州、極東の人々によって記録された(日本でも藤原定家が『明月記』にこの「客星」のことを記している)。現在SN 1006と呼ばれているこの超新星は、地球から約7000光年の距離にある白色矮星が一生を終え、大爆発を起こして吹き飛んだものである。SN1006は、おそらく人類が目撃した最も明るい星だった。その明るさは金星をしのぎ、月を除けば夜空の中で最も明るい天体だった。NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA). Acknowledgment: W. Blair (Johns Hopkins University)
モンキーヘッド星雲
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ24周年を記念して2014年に撮影されたモンキーヘッド星雲(NGC 2174)の画像。モンキーヘッド星雲はオリオン座にあり、地球からの距離は6400光年だ。こうした領域は「星のゆりかご」と呼ばれ、ガスと塵の雲が融合して若い星を形成している。NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
ふとっちょ銀河団の体重
2014年4月、ハッブル宇宙望遠鏡が収集したデータを使って、既知の遠方の銀河団の中で最も重いACT-CL J0102-4915銀河団の質量が推定された。スペイン語で「ふとっちょ」を意味する「エル・ゴルド」という愛称を持つこの銀河団は70億光年の彼方にある。天文学者は、エル・ゴルド銀河団の重力が背景の銀河の画像をどれだけ歪ませているかを測定することにより、この銀河団が太陽の3000兆倍もの質量を持つことを示した。これは、以前の見積もりより43%も重い。地球から比較的近いところでは同じくらい重い銀河団が見つかっているが、これだけ古い銀河団(現在138億歳と見積もられている宇宙が約半分の年齢だった時代の銀河団)でここまで重いものは、ほかに見つかっていない。NASA, ESA, and J. Jee (University of California, Davis)
アンドロメダ銀河の最高解像度画像
銀河系のすぐ隣りにあるアンドロメダ銀河(M31)の一部のパノラマ画像。実に7398枚もの画像を組み合わせたもので、アンドロメダ銀河の広い範囲の画像としてはこれまでで最高の解像度であり、拡大すると1億個以上の星を見ることができる。NASA, ESA, J. Dalcanton, B.F. Williams, and L.C. Johnson (University of Washington), the PHAT team, and R. Gendler
相互作用する銀河のペア、アープ242
長い尻尾のような形状のせいで「ねずみ銀河」の別名を持つアープ242は、天文学者がまとめた特異銀河のカタログの中でもとりわけ印象的な天体である。ハッブル望遠鏡の解像度の高い画像は、銀河の詳細な構造とともに、2つの銀河を結びつけている部分の複雑な構造も明瞭にとらえている。NASA, Holland Ford (JHU), the ACS Science Team and ESA
わし星雲
NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team(STScI/AURA)
タランチュラの心臓
タランチュラ星雲という別名を持つかじき座30星雲の中心部にある星形成領域。数百万個の星々が生まれているこの領域は銀河系の伴銀河である大マゼラン雲にあり、地球からの距離は17万光年だ。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したモザイク画像を詳細に見ていくと、個々の星を特定して、黒い塵の雲に包まれた星の赤ちゃんから、若くして激しい超新星爆発を起こす巨大な星まで、星の一生をたどることができる。NASA, ESA, D. Lennon and E. Sabbi (ESA/STScI), J. Anderson, S. E. de Mink, R. van der Marel, T. Sohn, and N. Walborn (STScI), N. Bastian (Excellence Cluster, Munich), L. Bedin (INAF, Padua), E. Bressert (ESO), P. Crowther (University of Sheffield), A. de Koter (University of Amsterdam), C. Evans (UKATC/STFC, Edinburgh), A. Herrero (IAC, Tenerife), N. Langer (AifA, Bonn), I. Platais (JHU), and H. Sana (University of Amsterdam)
ハッブル宇宙望遠鏡は、長年にわたって宇宙の画像を送り続け、人々を魅了してきました。そのなかから、専門家が厳選した画像など本誌未掲載もあわせた50の傑作画像を順次紹介していきます!
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