フランス・ランティングのように野生動物の写真を芸術的に撮れる写真家は、そうはいないだろう。

 ナショナル ジオグラフィックに数多く寄稿してきたことでも知られるランティングは、英ロンドン自然史博物館の「Wildlife Photographer of the Year」コンテストに新設された「Lifetime Achievement Award」(写真家としての実績を讃える賞)に選ばれた。ランティングが初めての受賞者となる。 (参考記事:「世界最高峰の野生生物写真コンテスト、受賞作14点」

 ランティングは、自身のInstagramに「これほど多くの同僚や同業者、友人、そして優秀な若い写真家に讃えられるというのは、感動的な体験でした」と記している。ランティングに贈られた、ゾウの形をした像は、1980年代にザンビアに蔓延していた密猟から生き延びたゾウを撮った作品「Survivor」(生存者)を模したものだ。

 タンザニアで遊ぶチーターから、南極を旅するペンギンまで、ランティングはナショナル ジオグラフィックの取材を通じて世界中の野生動物たちを撮影した。彼の作品の動物からは、人間のような親しみすら感じる。

 2011年、「デッドフレイ」と呼ばれるナミビアの干上がった沼地を撮影したランティングの写真がナショナル ジオグラフィック誌に掲載されると、大きな反響を呼んだ。明るいオレンジ色の砂丘に青い地面が浮かび上がる光景は、写真というよりまるで絵画だ。(参考記事:「2011年6月号 「写真? それとも絵?」“ナミブの砂丘”はこうして撮った」

 ランティングは印象的な写真で、密猟や絶滅の危機に瀕する動物たちの苦境を伝えてきた。

 フランス・ランティングはオランダ出身。写真家、環境保護活動家としての功績で、2001年には、オランダ王室より、環境保護に関する勲章であるゴールデンアーク勲章を受勲している。

文=SARAH GIBBENS/訳=鈴木和博

10人の巨匠 傑作選

ザ・ワイルドライフ・フォト

ロンドン自然史博物館が主催する「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」受賞経験者で、ナショジオでもお馴染みの写真家10人が、自らの野生生物写真の中から珠玉の10枚を選んで掲載する写真集。合計100枚の作品すべてに、撮影した写真家本人による解説が加えられており、撮影の背景やそこに込めた思いが伝わってくる1冊です。