フランス人画家ジャン・ポール・ローランスが描いた死体裁判の一場面。フォルモススは教皇服を着せられ、被告人席に座らされている。（PHOTOGRAPH BY BRIDGEMAN/ACI）

西暦818年、教皇パスカリス1世によってローマのサンタ・マリア・イン・ドムニカ聖堂が再建された。この後、教皇職をめぐる波乱の時代が幕を開ける。9世紀に入ると、ローマにはかつての栄光を思わせるものはほとんど残っていなかった。人のいなくなった町は廃墟と化し、「緑のヘビ、黒いカエル、翼の生えた竜」のすみかになっていたと、ある年代記は記している。住人のほとんどは町の小さな地区に肩を寄せ合い、力を失った教皇は、レオ4世（847～855年）がバチカンに建造した要塞の中に身を潜めていた。（PHOTOGRAPH BY BRIDGEMAN/ACI）

勢いを増していたグイード3世のスポレート公国に対抗するため、フォルモススはカロリング朝の支持を取り付けようとしていた。（PHOTOGRAPH BY BRIDGEMAN/ACI）

ノナントラ修道院。882年、皇帝カール3世（別名肥満王）は、この修道院でマリヌス1世に対してフォルモススの破門を解くよう依頼した。（PHOTOGRAPH BY ANDREA PISTOLESI/AGE FOTOSTOCK）

1010年に作られた司教杖。死体裁判の法的手続きは、6世紀のグレゴリオ1世による法典を基にしていたのではないかと、歴史家たちは見ている。グレゴリオは、同様にして死体が掘り起こされた過去の例を挙げて、大罪を犯しながら教会へ埋葬された者は糾弾されるべきであると定めた。（PHOTOGRAPH BY AKF/ALBUM）

謀略で命を落とした歴代の教皇。フォルモススの裁判だけではない。9世紀と10世紀は、ローマ教皇にとって波乱の時代だった。ローマとカトリック教会の支配権をめぐる政治的争いにより、何人もの教皇が現代ミステリーさながらの異常な死を遂げている。