ナショナル ジオグラフィックのアーカイブには、1888年の協会設立後に集められた、6000万点を超す写真やスライド、ネガフィルム、ガラス乾板などが保管されている。これらは、多様な社会や文化のなかで生きる女性たちをとらえた、世界有数の画像記録と言えるだろう。

 20世紀初頭に本誌に掲載された女性の写真は、当時の撮影技術の制約と植民地主義的な視点を反映して、民族衣装姿や乳房をあらわにしたままの姿など、異国情緒を漂わせる美女の肖像写真が多い。当時、撮影者の大半が白人男性だったことも影響していると言えよう。

 その後、カメラの進歩とともに、より活動的な女性の姿が掲載されるようになるが、登場するのは妻や姉妹、母親など、伝統的な家庭のなかの女性ばかりだった。第2次世界大戦中には、戦争遂行のために工場や病院、軍隊などで働く女性の姿が紹介されるようになったが、戦争が終わると、家庭的な女性像に逆戻りし、その後数十年にわたり、ほほ笑む女性の写真ばかりが誌面を飾った。こうした状況が変わるのは、ありのままの姿を記録する写真が主流になった1970年代になってからだ。

文=サラ・リーン/英語版編集部

この写真が掲載されている雑誌

ナショナル ジオグラフィック日本版
2019年11月号

「アーカイブの中の女性像」を収録

このほか、「未来を築く」「女性たちが作る新生ルワンダ」などを掲載しています。