• ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン)
    著名な建築家フランク・ゲーリー氏が設計した、近現代アートを収蔵する3階建ての美術館。中も外も連続的な曲線で構成されており、立体的に波打つガラスのカーテンウォールが内外の空間を繋ぐ。建物に使われているチタンが曲線のデザインと相まって、光を複雑にとらえる。オープンしたのは1997年。美術館や建築の見方に革命をもたらした。 (PHOTOGRAPH BY GONZALO AZUMENDI, GETTY IMAGES)

  • ヘイダル・アリエフ・センター(アゼルバイジャン)
    アゼルバイジャンの首都バクーにあるヘイダル・アリエフ・センターは、イラク出身の英国人建築家ザハ・ハディド氏の設計。オープンは2012年。ハディド氏は2014年、英ロンドンのデザイン・ミュージアムによる「デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。流体のようなデザインには直線がなく、渦を巻くソフトクリームのようだ。博物館、9階建ての展示ホール、講堂などがある。博物館はアゼルバイジャンの歴史と、ヘイダル・アリエフ元大統領の生涯と業績に特化している。地域の遺産についても、3フロアにまたがって詳しく説明している。 (PHOTOGRAPH BY JANE SWEENEY)

  • ベルリン・ユダヤ博物館(ドイツ)
    元々のユダヤ博物館は1933年に建てられたが、2001年にユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の影響を統合し、再建された。設計はダニエル・リベスキンド氏。この新しい博物館には専用の入口がない。入館するためには、隣にある古い建物(旧ベルリン高等裁判所)から地下通路を通って入る必要がある。リベスキンド氏は設計を通して、当時のユダヤ人の生活の大部分を占めた、存在が許されず隠れて暮らすしかなかった感覚や空虚感を呼び起こしたかったという。建物の中は迷子になりやすい。行き止まりや何もない空間が至る所にあり、わずかに漏れ入る外の光のみが辺りを照らす。同氏のウェブサイトによると、この象徴的な建物はユダヤ人市民の貢献なしには語れないベルリンの歴史を理解し、ホロコーストの意味を都市の意識や記憶と融合させ、ドイツがその歴史の中でユダヤ人の大虐殺を行ったことを認めるために建てられた。 (PHOTOGRAPH BY PIERRE ADENIS, LAIF/REDUX)

  • アンダルシア記念美術館(スペイン)
    先史時代から現在までのこの地域の歴史を展示している美術館。アルベルト・カンポ・バエザ氏が設計した。同じくバエザ氏の設計によるグラナダ貯蓄銀行本社に併設する、珍しい構造になっている。3階建てで、最上部はグラナダ貯蓄銀行本館のポディウム(演壇)へと続いている。建物の真ん中に円形の中庭があり、そこから楕円形のスロープが伸びて各階をつなぐ。その一端には何もない垂直の壁があるが、そこは実際には巨大なディスプレーになっている。 (PHOTOGRAPH BY WIM WISKERKE, ALAMY STOCK PHOTO)

  • デンマーク海洋博物館(デンマーク)
    デンマークの建築設計事務所、ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)による設計。この博物館はヘルシンゲルの町にあり、シェイクスピアのハムレットの城のモデルとも言われる世界遺産クロンボー城と、近代的な複合施設カルチャー・ヤードとの間、かつての造船所の地下に建てられている。この博物館の最高点であるガラス壁の一番上でも、地上90センチの高さしかない。傾斜した橋で中とつながっており、過去400年の商船コレクションやその物語に関する様々な展示がある。展示に加えカフェやショップも、すべて地下にある。 (PHOTOGRAPH BY HUFTON+CROW, ALAMY STOCK PHOTO)

  • リオ美術館(ブラジル)
    リオ美術館(MAR)は、3つの建物から成る。かつてポルトガル国王ドン・ジョアン6世の宮殿だった邸宅、警察署、元バスターミナルだった建物が、波型の屋根や通路、広場で繋がっている。邸宅には美術館の展示ギャラリーがあり、警察署は公立学校の教師に芸術について教える、Escola do Olharという教育施設になっている。建築設計事務所ベルナルデス+ヤコブセン(Bernardes + Jacobsen)のデザイナーが直面した主な課題は、これら3つのエリアを一体化することだった。 (PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING WORLD IMAGERY, GETTY IMAGES)

  • ジョルジュ・ポンピドゥー・センター(フランス)
    1971年、「情報、娯楽、文化の中心地」を建設する国際コンペを勝ち抜き、建築家リチャード・ロジャース氏とレンゾ・ピアノ氏が設計したジョルジュ・ポンピドゥー・センターは、1977年にパリにオープンした。ポンピドゥー・センターには現在、近代美術館、参考図書館、産業デザインセンター、仮設展示スペース、児童図書館兼アートセンター、フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)、レストランが入っている。ポンピドゥー・センターの多様な機能は、その構造に現れている。ポストモダンの影響を明確に受け、「プレハブ部品で構築されたフレキシブルなコンテナ」となるよう設計されているのだ。エスカレーターとエレベーターは建物の外にあるため、内側の床面積を削ることがなく、外の広場の素晴らしいパノラマを眺めることができる。 (PHOTOGRAPH BY FRANK HEUER, LAIF/REDUX)

  • ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(米国)
    今回紹介する中で最古の美術館である米ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館は、1943年に建築家フランク・ロイド・ライト氏に建築設計が委託されたが、オープンは1959年になってからだった。ライト氏はオープンの6カ月前に亡くなっている。この美術館は同氏の建築物の中で、最も重要な建物であることはまず間違いない。美術館のウェブサイトでは、この建物がもたらす影響について、建築評論家ポール・ゴールドバーガー氏の言葉を引用している。「ライト氏の建築物のおかげで、建築家が非常に表情豊かで極めて個人的な美術館を設計することが、社会的・文化的に受け入れられるようになった。この意味で、現代の美術館のほぼすべてが、グッゲンハイムの子どもである」。このまんまるとしたモダニズム建築は、長年の間に何度も閉鎖され修復されてきたが、建築の喜びは今も残る。 (PHOTOGRAPH BY MASSIMO BORCHI, ATLANTIDE PHOTOTRAVEL/GETTY IMAGES)

  • 建築ドローイング美術館(ドイツ)
    建築アイデアを手書きした「ドローイング」への関心を呼び起こすため、チョーバン財団が設立した美術館。設計はモスクワの建築事務所SPEECHのセルゲイ・チョーバン氏とセルゲイ・クズネツォフ氏で、2013年、ベルリンにある醸造所跡のプフェッファーベルクにオープンした。この建物の線や角度は、手書き図面を保管するスライド式の引き出しや棚を思い起こさせる。外壁のコンクリートの粗いエッチングも、このテーマと結びつく。(PHOTOGRAPH BY JAN-PETER BOENING, ZENIT/LAIF/REDUX)

  • ヘアニング現代美術館(HEART)(デンマーク)
    米国の建築家スティーブン・ホール氏の設計で、視覚芸術や音楽の展示を通じて現代美術を推進する目的で建てられた。建物は1階建てで、広大な芝生の丘の上に位置する。近くに昔のシャツ工場があり、ヘアニング市が織物やアートと深い関係があることから、上から見た美術館はシャツの袖に似ている。また、そのシャツ工場にも美術コレクションの一部を収蔵している。オープンは2009年。展示ギャラリー、講堂、音楽リハーサル室、レストラン、メディア・ライブラリーから成る。 (PHOTOGRAPH BY VIEW PICTURES, GETTY IMAGES)

入る前から訪れる者を魅了する美術館がある。事実、その外観は収蔵している美術品と同じくらい魅力的だ。美術館を設計することはつまり、特殊な要件や制約を与えられた中で、独創的な建築に挑むことを意味する。建物は、芸術作品の展示や保管に最適な条件を備えていると同時に、周囲の景観にふさわしいものでなければならない。創造性に富んだ美術館内部はもちろん、デザインの美しさで一見の価値がある美術館を10カ所紹介する。

文=FABIOLA MONTEIRO/訳=牧野建志

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