ヨーロッパ南東の国、ブルガリアに「バラの谷」と呼ばれる一帯がある。バルカン山脈の南に横たわる渓谷で、毎年5月から6月にかけて咲き乱れるバラの花によって、谷はピンク色に染まる。

 かつての共産主義体制下では、拳銃、銃弾といった武器製造でしか知られていなかった地域だが、現在はローズオイル(バラ油)の世界的な生産地として有名になった。ローズオイルは「金の液体」とも呼ばれ、わずか450グラムで3500~6000ドルにもなる。

 食用にもなる香り高いバラの花は、今ではブルガリアが誇る国家的名産品となったが、経済的な問題や気候の不安もあり、その未来は不透明だ。

文・写真=Yana Paskova/訳=ルーバー荒井ハンナ