• 米アラスカ州スワード半島の崖やツンドラの上空を舞うシロハヤブサ。多くの個体が、地球最速で温暖化が進む地域である北極圏に年間を通して留まるため、気候変動に対して特に脆弱な種だ。 (PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • シロハヤブサとイヌワシは、北極圏に広がる広大な無人の荒野で崖の営巣地をめぐって争う。写真は、スワード半島を流れる川沿いにそびえ立つ断崖に作られたかつてのイヌワシの巣。この地域は、道路網のおかげで研究者がアクセスしやすいため、シロハヤブサの研究に最適なまたとない場所だ。 (PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • 孵化後約25日のシロハヤブサのひな。将来識別できるよう、もうすぐバンドが付けられる。ひなにバンドを付け、測定や血液採取をするためには、何キロも歩き、崖をロープで下りなければならない。(PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • 夏の気温が高いと蚊の大群が発生する。幼鳥にはまだ免疫がない。北極圏の温暖化に伴って、蚊が媒介するウエストナイルウイルスのような鳥類の病気が広がることが懸念される。 (PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • 崖の高所に作られた巣で、母鳥が運んできた獲物を貪るシロハヤブサの幼鳥。Peregrine Fundの生物学者が設置したカメラトラップ(自動撮影装置)のおかげで、ひなを観察し、何を食べているのか調べることができる。(PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • 地面に散らばる羽とシロハヤブサの巣の近くに生える野花。シロハヤブサが専門的に狩るのは、ライチョウ、リス、レミング、鳴禽(めいきん)類と呼ばれる小さな鳥だ。(PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • 米アラスカ州ノームで地元の鷹匠ジョン・アースマン氏が飼っているシロハヤブサ。同氏は「シロハヤブサは魅力的で、高い知性を持っています」と話す。鷹匠が使う多くの猛禽類は、夏の終わりや秋に羽毛が生えそろい「飛んでいるところ」を網などで捕まえ、春に狩りに放たれる。(PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • Peregrine Fundのシロハヤブサ研究プロジェクトを管理するマイケル・ヘンダーソン氏。営巣地で最近バンドを付けられたシロハヤブサの幼鳥を抱いている。(PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

  • 空高く舞う白いシロハヤブサのメス。米アラスカ州ノームの近くで撮影。ある地域では、シロハヤブサの10%が、このような明るい白色をしている。「シロハヤブサの中でも、とりわけ白い個体には、目を奪われます」と写真家キリイー・ユーヤン氏は話す。「その大きさと獰猛さが、私の好奇心を掻き立てます。シロハヤブサは、野生生物が人とはまったく異なる一面を有することを思い起こさせる激しさと意識を持っています」(PHOTOGRAPH BY KILIII YÜYAN)

この写真の記事

 翼を広げれば1.2メートルにもなる世界最大のハヤブサが「シロハヤブサ」だ。飛行速度も速く、時速130キロで飛ぶこともできる。北極圏に生息し、冬でもそれほど南下しない唯一の猛禽類でもある。

 生息地である北極圏は、他の地域に比べて倍以上の速さで温暖化が進行している。これ以上、北へと移動できないシロハヤブサにとって、逃げ出す場所は残されていない。

「天空の女王」と称されながら、生態が知られていないシロハヤブサ。この鳥に魅せられた写真家が、世界最大のハヤブサの研究調査に同行して撮影した貴重な写真をご覧いただこう。

文=DOUGLAS MAIN/写真=KILIII YÜYAN/訳=牧野建志

おすすめ関連書籍

PHOTO ARK 鳥の箱舟

絶滅から動物を守る撮影プロジェクト

色も姿も多様な鳥たちの写真約350枚、280種以上を収録。世界各地の珍しい鳥、美しい鳥、変わった鳥など、まだまだ知られていない鳥を紹介します。

定価:本体2,600円+税