• アオウミガメ(Chelonia mydas)が、エコツーリズムプロジェクトが始まったばかりのバハマの小島「リトル・ファーマーズ・ケイ」の沿岸に集まる。大航海時代、カリブ海にはかなりの数のアオウミガメが生息しており、コロンブスは1494年の第2回航海で「船がウミガメに乗り上げて座礁しそうなほどだった」と報告している。現在アオウミガメは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種」に分類されている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • インドネシア、ケイ諸島の近くで、もりを刺されて血を流す瀕死のオサガメ(Dermochelys coriacea)。毎年約100頭のオサガメが先住民の漁師に殺されているほか、気候変動や漁船団による混獲(意図せず捕獲してしまうこと)も生息数を減らす原因になっている。西太平洋のオサガメはおとなのメスの生息数が1000頭を下回り、「近絶滅」の個体群と考えられている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • オーストラリア、クイーンズランド州のヨーク岬半島沖にあるクラブ島のヒラタウミガメは、先住民レンジャー「アプダーマ・ランド・トラスト」によって管理されている。レンジャーは、ウミガメが巣を作る大切な海岸の監視、調査、保護を行っている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • アラブ首長国連邦のドバイにある世界有数の豪華ホテル、ブルジュ・アル・アラブ内のウミガメのリハビリテーションセンターで、自然に帰される前のアオウミガメとタイマイ(Eretmochelys imbricata)が水槽内を泳ぎ回っている。このセンターでは、15年間に1600頭以上のウミガメを治療し、野生に戻してきた。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • コスタリカの海岸で見られる「アリバダ」は、自然界で最も壮観な光景のひとつだ。「アリバダ」とは、ウミガメが産卵のために群れをなして陸に上がってくる現象のこと。雨期の間、1カ月に1回か2回、数万匹のメスのヒメウミガメ(Lepidochelys olivacea)が一斉に上陸し、砂浜に巣穴を掘り、卵をねらうコンドルやアライグマの視線を浴びながら産卵する。それから45日ほどで、孵化した子ガメが姿を現す。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • コスタリカのオスティオナルでは、多くのヒメウミガメがひしめき合って産卵するため、互いの卵を押しつぶしてしまうことも多い。このため当局は、現地の住民がウミガメの卵を掘り出して自分で食べたり国内の市場で売ったりすることを認めている。採卵や販売は、規則で厳しく制限されている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • ガラパゴス諸島、フェルナンディナ島の西岸にあるマングローブの入り江で、泥の底から突然現れた大きなアオウミガメ。この辺りでは、風によって冷たい水が湧き上がったときに、ウミガメが温かい水のある方へ避難していることが多い。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • 卵からかえったばかりのオサガメは、一団となって砂の山を登り、地表へ向かう。最後の砂の層が崩れ落ちると、巣穴から湧き出したような子ガメたちが一斉に海に向かって這っていく。しかしその先には、陸にも海にも多くの捕食者が待ち構えている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • トリニダード島のマチュラ海岸で、海へ向かう途中、ペットボトルなどのゴミに進路を阻まれたオサガメの子。地元の自然保護団体「ネイチャー・シーカーズ」は、定期的に海辺の清掃などの活動を行って、付近のオサガメの個体数を劇的に回復させた。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

  • バハマの小島「リトル・ファーマーズ・ケイ」でアオウミガメの注意を引く採貝漁師。かつてこの島では食材として珍重されたアオウミガメだが、現在は観光の目玉として大切にされている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK)

 ウミガメは、危機にひんしている。地球上には現在、7種のウミガメが生息しているが、そのうち6種が絶滅危惧種に指定されている。残る1種、オーストラリアのヒラタウミガメ(Natator depressus)は、どのようなリスクに直面しているかわかっていない「情報不足種(Data Deficient)」だ。(参考記事:「ウミガメの99%がメスに、オーストラリア」

 人間はウミガメに大きな影響を与えてきた。乱獲したり、船をぶつけたり、営巣地である海岸にマンションを建てたり、海に捨てたビニール袋で窒息させてきた。

 しかし、ウミガメは幾度もの氷河時代や、恐竜を絶滅に追い込んだ大事変を生き抜いた動物だ。現在も持ちこたえ、多くの場所で回復傾向すら見せている。実際、ウミガメの回復力は、これまで考えられてきたよりずっと高いのではないかと考える科学者も増えている。

 とは言え、人間の協力は不可欠だ。ナショナル ジオグラフィックの写真家、トマス・ペシャック氏は、ウミガメの保護にもっと関心が集まることを願って、1年以上かけて世界中のウミガメの写真を撮って回った。今回は、6月16日の「世界ウミガメの日」に合わせ、ペシャック氏の写真の中から、選りすぐりの10枚を紹介する。(参考記事:「ギャラリー:世界のウミガメ 写真14点」

文=Craig Welch/写真=Thomas P. Peschak/訳=山内百合子

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