• ガダミスの旧市街、リビア
    「砂漠の真珠」と言われるガダミスは、サハラ砂漠に近い集落のうち、現存する最古の町の一つだ。紛争が続く2016年には、リビアにある5つの世界遺産すべてが危機遺産リストに追加された。ユネスコ事務局長のイリナ・ボコバ氏は、プレスリリースでこう述べている。「リビアは人類全体にとって非常に重要な場所です。リビアの人々の先祖たちは、技術的、芸術的に大きな発展を成し遂げてきました。いくつかの主要な遺跡は、それを目撃した貴重な遺産なのです」(PHOTOGRAPH BY MARTIN SASSE, LAIF, REDUX)

  • タドラルト・アカクスの岩絵、リビア
    リビアとアルジェリアの国境近くにあるタドラルト・アカクスには、紀元前1万2000年から西暦100年ごろにかけて岩に描かれた無数の洞窟壁画が残されている。キリン、ゾウ、ウマのほか、人の絵もみられる。地域の内戦が続く中、この先史時代の洞窟壁画も損壊の危機が高まっている。2016年には、リビアにある5つの世界遺産すべてが危機リストに追加された。(PHOTOGRAPH BY LUCA ZANETTI, LAIF, REDUX)

  • バーミヤン渓谷、アフガニスタン
    ヒンズークシ山脈に位置するバーミヤン渓谷には、1世紀から13世紀にかけて作られた仏教の僧院や聖窟、イスラム時代の城塞が存在する。2001年、タリバンが2つの仏像を破壊し、世界を揺るがす悲劇となった。ユネスコ事務局長のイリナ・ボコバ氏は、こう述べている。「2つの歴史的な仏像は、私たちが共有する偉大な人間性の証として、1500年にわたって立ち続けていました。そして、アフガニスタンを荒廃させている紛争の中、アフガンの人々のために結集する文化の力をおとしめようとして破壊されたのです」(PHOTOGRAPH BY SHEFAYEE, AFP, GETTY IMAGES)

 毎年、ユネスコは、美しい自然の景観から独創的な人工建造物まで、人類にとって顕著な普遍的価値をもつ文化遺産や自然遺産を世界遺産として登録している。

 しかし、嵐に襲われて景観が破壊されることもあれば、開発によって動物の生息地が奪われたり、武力紛争で地域社会が荒廃することもある。その結果、何千年もの時を経てきた人類共有の遺産は危険にさらされる。

 1972年に発効した世界遺産条約第11条4項によって、都市開発や観光開発、武力紛争、自然災害、放棄などのさまざまな脅威から保護する必要がある遺産が、「危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)」に指定されている。その目的は、国際的な意識向上を図り、対策を推奨し、今後の被害を防ぐことにある。

文=Gulnaz Khan/訳=鈴木和博

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