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アンテロープを狩るイヌの群れ。リビアの遺跡、タドラルト・アカクスに残る1万2000年前の岩絵。(PHOTOGRAPH BY ROBERT PRESTON PHOTOGRAPHY, ALAMY)
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すらりとしたハウンド犬は、中世のアジアやヨーロッパ各地で上流階級の人々に珍重された。画像は16世紀のペルシャの細密画に描かれた狩猟犬サルーキ。(ILLUSTRATION BY HERITAGE IMAGE PARTNERSHIP LTD, ALAMY)
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メキシコ西部のコリマで約2000年前に作られた、遠吠えするイヌの像。かつてこの地域に多く生息していた無毛の犬種をかたどっているのかもしれない。(PHOTOGRAPH COURTESY WALTERS ART MUSEUM)
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イタリア、ポンペイの家の入り口にある有名なモザイク画。ラテン語で「犬に注意」(Cave Canem)と書かれている。紀元79年のベスビオ火山の噴火で埋まったため、現在まで残っている。(PHOTOGRAPH BY ALESSANDRA BENEDETTI, CORBIS/GETTY)
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モロッサーと呼ばれる恐ろしげなイヌが、ライオンを狩っている。マスティフやセントバーナードといった現代の犬種の祖先だ。紀元前7世紀の新アッシリア、ニネヴェ(現在のイラク)の宮殿にあったレリーフ。(PHOTOGRAPH BY LANMAS, ALAMY)
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ジャッカルの頭を持つ姿で描かれるアヌビスは、エジプト神話でミイラ造りと冥界の神。3000年前の「死者の書」に描かれた場面で天秤を調節している。(PHOTOGRAPH BY ALBUM, ALAMY)
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後漢時代(紀元25年~220年)の、うわ薬を施した陶芸品のイヌ。チャウチャウかシャー・ペイを表すとみられる。どちらも古代中国では大事な使役犬だった。(PHOTOGRAPH BY PETER HORREE, ALAMY)
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紀元前360年ごろの墓標。ギリシャの若い猟師が、相棒である忠実なイヌとともに描かれている。(PHOTOGRAPH BY PHAS, UIG/GETTY)
「俊足」「トラ」「雌オオカミ」。これらは2000年前のイヌたちに付けられた名前だと、古代ローマの作家コルメラは書き残している。コルメラによると、イヌの理想的な名前は「短すぎてもいけないが、長すぎないのがよい。それぞれのイヌが、呼ばれたら直ちに従うことができるように」という。
しかし、古代ローマの人々がこうしてイヌに言及する何千年も前から、イヌは世界中で人間と密な関係を築いていた。いつ、どこでイヌが家畜化されたのかは、現在も正確には特定されていない。だが確かな事実は、1万2000年前の時点でイヌたちは石柱に描かれ、人の腕に抱かれて埋葬されていたということだ。
すべての古代文化が、ローマ人のようにイヌについて書き残しているわけではない。だが、太古の人々が生み出した芸術の中に、人とイヌの関係は鮮やかに描かれている。ここでは、その一部を紹介しよう。
文=Kristin Romey/訳=高野夏美
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