分類: 哺乳類
IUCNのレッドリストによる
危機の評価: 低危険種
食性: 肉食
寿命: 7 年
体長: 90 センチ ~ 1 メートル
体重: 7 ~ 13キログラム
アードウルフとは
アードウルフは、ウルフといえどもオオカミではない。アードウルフはハイエナ科に属する4つの種の1つで、ほかの3種はブチハイエナ、シマハイエナ、カッショクハイエナだ。ほかのハイエナと同じく、アードウルフも前肢が後肢より長いために少ないエネルギーで軽やかに走ることができ、長距離の移動を得意とする。背中の中央を走るたてがみは興奮すると逆立ち、体を大きく見せるのに役に立つ。
アフリカーンス語(南アフリカの公用語の一つ) で「土のオオカミ」を意味するアードウルフという名は、地面に穴を掘って巣を作り、外見がイヌに似ていることからつけられた(ただし、より近い関係にあるのはネコの方)。
アフリカにのみ生息するが、分布域は2カ所に分断されている。1つは大陸東側のエジプト南端部からタンザニア中部にかけて、もう1つはアンゴラ中部およびモザンビークから南アフリカにかけての一帯だ。
夜行性の哺乳動物で、見通しのよいサバンナや草原で暮らし、ほかの動物の巣を広げるなどして作った巣穴で体を休め、子どもを育てる。
食べ物
ハイエナの多くが肉食であることはよく知られているが、アードウルフは大きな獲物よりもむしろ昆虫を好んで食べる。
夜になると巣穴を出てシロアリ塚を探す。塚を見つけると、長い舌でシロアリを絡めとってのみ込む。一晩に数千、時には数十万匹を食べることもある。アリ塚を壊してシロアリを捕食するツチブタとは違い、アードウルフは塚を壊すことはしないため、同じ塚から何度もエサを得ることができる。
ほとんどの哺乳動物はシロアリの兵隊アリが巣を守るために発する化学物質におじけづくが、アードウルフはこの不快な分泌液に対する耐性を遺伝的に持っている。
天敵はヒョウやライオン、ブチハイエナなどで、アードウルフのおとなも子どももエサにする。セグロジャッカルは、多くの場合子どもだけを狙う。
繁殖
メスは1年に1度発情期に入る。通常は単独で生活するアードウルフだが、この交尾期間中はつがいを作る。ただし、オスメスとも、ほかの個体とも交尾することがある。
妊娠期間は90日ほどで、1度に1匹から4匹の子を産む。目が閉じた状態で生まれる子どもはすべてを母親に依存しており、4カ月間は母親の乳で育つ。
生後6週間ほどで、子どもは巣の外に出るようになる。1歳になった頃、オスもメスも母親の元を離れ、自分の縄張りを作る。
保護状況
国際自然保護連合(IUCN)がアードウルフに関して2014年に行った調査では、多くの国立公園や保護区で個体群が繁殖しており、絶滅の危険は低いとされた。
とはいえ、農家がシロアリ塚を破壊してしまうなど、アードウルフについても人間による開発によって生息地が失われる可能性がある。
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