ハナグマ

Coatis
メキシコのコスメル島で、別の個体の上に登るハナグマ。(PHOTOGRAPH BY KEVIN SCHAFER, MINDEN PICTURES)
メキシコのコスメル島で、別の個体の上に登るハナグマ。(PHOTOGRAPH BY KEVIN SCHAFER, MINDEN PICTURES)
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早わかり

分類:哺乳類
IUCNのレッドリストによる
危機の評価:

アカハナグマ/ハナジロハナグマ
=低懸念種
ニシヤマハナグマ=準絶滅危惧種
ヒガシヤマハナグマ=危機種
食性:雑食
寿命:7年
体長:66センチメートル(家猫ぐらいの大きさ)

プロフィール

 ハナグマは、アライグマ科に属し、しま模様の尾と覆面のような顔が特徴。外見はアライグマと似ていても、多くの違いがある。

 まず、ハナグマは昼行性で、日中にほとんどの採餌を行う。一方、アライグマは夜行性で、主に夜間に狩りをする。

 また、ハナグマは鼻が長く、鼻先はブタのように柔軟で、上を向いている。そのため、英語で「hog-nosed raccoon(ブタバナアライグマの意)」とも呼ばれる。

 さらに、尻尾にも違いがある。アライグマが白黒のフサフサした短い尾を持つのに対し、ハナグマの尾は細長い。ハナグマの尾はモノをつかむのに適していると考えられている。こずえから落ちないようにバランスを取りながら、枝をしっかりつかむことができる。

 地上では、4本足で歩きながら、尾を高く上げていることが多い。おそらく、深いやぶを移動するとき、ほかの個体に自分の位置を知らせるためだろう。このように、ハナグマの群れはマダガスカルに暮らすワオキツネザルの群れとよく似ている。両者は地球の反対側に暮らし、近縁種でないにもかかわらずだ。

すみかと食べ物

 ハナグマは米国南西部からアルゼンチン、ウルグアイの北部にかけて分布する。熱帯雨林、草原、さらには山の斜面など、さまざまな環境に適応できる。

 これほど適応力がある理由のひとつは、落ち葉の中で見つかるものであれば、ほぼ何でも食べてしまうことだ。葉や果物から昆虫、タランチュラ、鳥、トカゲ、ヘビ、げっ歯類、ワニの卵まで、あらゆるものを口にすることで知られている。

繁殖

 ハナグマの群れは通常4〜20匹で、その大部分がメスとその子どもだ。おとなのオスはほとんどの時間を単独で過ごし、繁殖のときだけ群れに加わる。

 実際、ハナグマのオスは体が大きく、単独行動を取るため、かつて全く異なる種と考えられていた。南米の先住民の言語グアラニ語で「孤独なハナグマ」を意味するコアティマンディという名前も与えられた。

 交尾後、メスはわずか10〜11週の妊娠期間を経て出産する。赤ん坊の誕生に備えて、母親は森の樹冠に枝葉で頑丈な巣をつくる。一度に生まれてくる赤ん坊は2〜7匹だ。

 たくさんの赤ん坊が生まれると、母親が餌を探している間、群れのメスたちが交代で子守をする。互恵的利他主義と呼ばれる行動だ。赤ん坊が母親以外のメスの乳を飲むことさえある。

生存の危機

 ハナグマは比較的小さい動物で、地上にいる時間が長いため、さまざまな捕食者の餌食になる可能性がある。ジャガー、オセロット、ジャガランディなどのネコ科動物、タテガミオオカミ、飼いイヌなどのイヌ科動物に狙われる。体を締め付ける大きなヘビや猛禽(もうきん)類に命を奪われることもある。

 人がハナグマを捕まえるのは、肉や毛皮のため、あるいは、ニワトリなどの家畜を食べられたときなどだ。さらに、ペットとして売るために捕獲することもある。

 ハナグマ属には4つの種があり、いずれも個体数が減少していると考えられている。それにもかかわらず、国際自然保護連合(IUCN)はアカハナグマとハナジロハナグマを低危険種と見なしている。

 ただし、ニシヤマハナグマは近危急種、ヒガシヤマハナグマは絶滅危惧種に分類されている。どちらもアンデス山脈に生息し、森林破壊や牧場、農場への土地転換により、個体数が減少していると考えられている。

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