カメレオン

Chamaeleonidae
ジャクソンカメレオン(Trioceros jacksonii)のメス。米国イリノイ州ブルーミントンのミラーパーク動物園で撮影。この種の特徴である3本の角はオスのみに生えている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
ジャクソンカメレオン(Trioceros jacksonii)のメス。米国イリノイ州ブルーミントンのミラーパーク動物園で撮影。この種の特徴である3本の角はオスのみに生えている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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早わかり

分類: 爬虫類
食性: 雑食
寿命: 4カ月~9年(種によって異なる)
体長: 2 ~ 68センチ

カメレオンとは

 同時に2つの方向を見ることができる目、ものをつかむことができる尾、色が変わる皮膚、ロケットのように発射される舌。カメレオンは一目でそれとわかる特徴を持っている。攻撃的な頂点捕食者とは程遠い動物だが、カメレオンという名前は「地上のライオン」を意味するギリシャ語に由来する。ライオンのたてがみに似た突起を持つ種がいることから、このような名前が付いた可能性が高い。

 カメレオンは200以上の種から成り、そのうち76種はマダガスカル島のみに生息する。主に昆虫や植物を食べるが、げっ歯類や小鳥を捕食することもある。砂漠、熱帯雨林、サバンナなど、多様な生息地で単独生活を送っている。

樹上生活

 カメレオンは樹上生活に完全に適応している。足は4本で、それぞれに5本の指があり、2本と3本の二股に分かれている。そのため、人間の手の親指と残りの指を使うように、枝をしっかりつかむことができる。サルのように尾を枝に巻き付けることで、安定した姿勢で次の枝に脚を伸ばすことができる。ほかの多くのトカゲと異なり、尾を切られたら再生しない。

ジャクソンカメレオンのオス。頭頂に3本の角があり、小さなトリケラトプスと呼ばれることもある。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
ジャクソンカメレオンのオス。頭頂に3本の角があり、小さなトリケラトプスと呼ばれることもある。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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外見

 カメレオンは通常、樹上の生息環境に溶け込むため、緑色や茶色の外見をしている。この自然の体色で捕食者から身を守っている。毒やかみ付きなどの防衛手段を持たないため、見つからないように隠れるしかない。

 カメレオンが体色を変えられることはよく知られているが、これは皮膚の中に特殊な細胞や結晶があるためだ。しかし、周囲に合わせて体色変化するというのはよくある誤解だ。カメレオンは赤、オレンジ、青、黄などの鮮やかな色に変化できるが、どのような色にも対応できるわけではない。

 カメレオンが色を変えるのは、たいてい目立つためだ。例えば、オスはメスの気を引くためにディスプレイを行ったり、縄張りに侵入したライバルのオスを威嚇したりする。オス同士の戦いでは、頭部の色が鮮やかで、色の変化が早い方が勝利を収める傾向にある。敗者は色を戻すことで負けを認める。一方、交尾後のメスは暗い色を帯び、オスが近寄らないように攻撃的な行動を取る。

 体色はカメレオンの気分も表す。ストレスや恐怖、怒りを感じると色が暗くなり、寝ているときは美しい色彩を帯びる。また、カメレオンは体温を調節できないため、寒いときは、より多くの熱を吸収するため、体色が暗くなり、日なたの明るい場所にいるときは明るくなる。

 カメレオンの目は大きく膨らんでいて、水平方向に約180度、垂直方向に約90度という驚異的な視野で危険を察知する。眼球には円すい形のまぶたが癒着しており、中央に瞳孔のための小さな穴が開いている。カメレオンは両目の焦点を別々に合わせたり、単眼視と両眼視を切り替え、距離をより正確に判断したり、同時に異なる方向に目を動かし、脅威を監視しながら、周囲を見回したりできる。このように素晴らしい目の持ち主だが、暗闇ではほとんど目が見えない。

繁殖

 ほとんどの種は卵生で、地中の穴に卵を産み付ける。小さな種が一度に産む卵の数は2〜4個だが、40個の卵を産み落とす種もいる。通常、卵がふ化するまでの期間は4〜12カ月だ。ただし、例外として、パーソンカメレオンの卵はふ化までに最長2年かかり、ジャクソンカメレオンなど、幼体を産む種もいる。幼体は卵黄囊(のう)に包まれた状態で生まれ、母親が袋ごと枝にくっ付ける。

 カメレオンの赤ん坊は生まれてすぐに独立し、親に会うことすらない種もいる。ラボードカメレオンは4〜5カ月しか生きられないが、卵は9カ月かけて成長する。つまり、冬前に産み付けられた卵が、夏の雨期を迎える前にふ化したときには、親はもはや姿を消しているということだ。

ペッターカメレオン(Furcifer petteri)。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に指定されている。マダガスカル島のみに生息する種だが、人の活動が原因で、生息環境の劣化が進んでいる。(PHOTOGRAPHS BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
ペッターカメレオン(Furcifer petteri)。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に指定されている。マダガスカル島のみに生息する種だが、人の活動が原因で、生息環境の劣化が進んでいる。(PHOTOGRAPHS BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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エリオットカメレオン(Trioceros ellioti)のオスとメス。チェコのザーイェズド動物園で撮影。メスは卵胎生で、体内で卵を育ててから幼体を産む。(PHOTOGRAPHS BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
エリオットカメレオン(Trioceros ellioti)のオスとメス。チェコのザーイェズド動物園で撮影。メスは卵胎生で、体内で卵を育ててから幼体を産む。(PHOTOGRAPHS BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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 体長の2倍もあるカメレオンの舌は、獲物を捕らえるために進化した驚異的な道具だ。普段はびっくり箱のように、のどの奥に舌が圧縮されている。そして、獲物を見つけると、ばね仕掛けの大砲のように、ものすごい勢いで前方に発射される。100分の1秒で時速100キロ近くまで加速する車に匹敵するスピードで舌を出す種もいるほどで、舌の動きは動物界最速の部類に入る。

 カメレオンの舌は獲物に巻き付くのではなく、舌先が吸盤のような役割を果たす。人の唾液の400倍もの粘性を持つ特殊な粘液に覆われており、体重の30%もある獲物を捕まえることができる。

大きさ

 2つの種が世界最大のカメレオンの座を争っている。最も重い種は約680グラムのパーソンカメレオンで、体長は約66センチ。最も長い種はウスタレカメレオンで、約68.5センチまで成長する。

 最近まで、最も小さいカメレオンは、体長3センチ足らずのミクロヒメカメレオンだった。しかし、2021年、体長約2.15センチのナノヒメカメレオンがマダガスカル島で発見された。大きさはヒマワリの種ほどで、世界最小の爬虫類の可能性もある。しかし、生息地の喪失によって、近い将来、絶滅危惧種に指定されるかもしれない。

脅威

 焼き畑農業や森林伐採による生息地の喪失、ペット取引などが原因で、カメレオンの約半分の種は絶滅の危機にさらされている。ほとんどの種がワシントン条約で国際取引を規制されている。それでもなお、膨大な数のカメレオンが違法に捕獲されている。

 カメレオンはペットとして人気があり、飼育下繁殖も盛んに行われているが、カメレオンの健康と幸福を維持することがどれほど大変かはあまり知られていない。カメレオンが好む気温、湿度、寝床、広さは種によって異なる。紫外線を発する照明なども必要だ。飼育方法を少し間違えただけで重病になることもある。カメレオンをペットとして飼いたい人は、ニーズを満たすための準備を十分に整えるべきだ。

ペレットカメレオン(Trioceros perreti)。国際的なペット取引で人気が高く、IUCNのレッドリストでは絶滅危惧種に指定されている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
ペレットカメレオン(Trioceros perreti)。国際的なペット取引で人気が高く、IUCNのレッドリストでは絶滅危惧種に指定されている。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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