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ツタンカーメンの生前の顔を復元
米仏エジプトの3チームが別々に取り組む






フランス・チームが作成した復元模型




米国チームが作成した復元模型




エジプト・チームが作成したコンピューター・モデル

 エジプト最高考古庁長官のザヒ・ハワス博士は5月10日、エジプト王朝史上、最も有名なファラオ(王)であるツタンカーメンが生前にどんな容姿だったかを探るため、三つの研究チームが別々に顔の復元模型を作成したと発表した。
 参加したのは芸術家と科学者で構成するフランス、米国、エジプトの3チーム。それぞれが現代の法医学的な手法を用いて復元に取り組んだ。フランスと米国のチームは米国ナショナル ジオグラフィック協会が支援、エジプト・チームはエジプト最高考古庁が選抜した。このうちフランスとエジプトのチームは事前にツタンカーメンの顔を復元することを伝えられたのに対して、米国チームは王の名が伏せられていた。

暗殺説を否定、死因は骨折か
 ハワス博士らは2005年1月5日にエジプト・ルクソールの「王家の谷」でツタンカーメンのミイラを王墓から運び出してCT(コンピューター断層撮影)装置で調べ、高解像度の画像データを得ている。使用した車載式のCT装置はナショナル ジオグラフィック協会と独シーメンス社が提供した。もろくなった王のミイラを詳細に検査したのは、1978年にX線撮影されて以来のこと。CT検査により、ミイラへのダメージを最小限に抑えられ、軟組織と骨の密度の違いを判読することができた。取得した高解像度の画像は1700点以上になる。

 CT検査による分析結果は2005年3月5日にすでに発表されており、ツタンカーメンが死亡したのは19歳の頃だったことが明らかにされている。生前の王は栄養状態が良好で、子供の時に病気になったことや栄養不良だった形跡は認められなかった。
 さらに、1968年に行われたX線撮影で王の頭に殴られた跡があるとされたが、今回のCT検査ではそれは否定された。それ以外の殺害を裏付けるような証拠も得られなかった。
 科学者チームが注目したのは、王が死亡する前日もしくは2日前に生じたと思われる左ひざの骨折だ。「王はこの傷がもとで感染を起こし、死亡した可能性がある」とハワス博士は指摘する。
(詳細はナショナル ジオグラフィック日本版6月号の特集「ツタンカーメンの死因の謎」で紹介します)

3チームがとても似た復元模型を作成する
 3チームとも、エジプト最高考古庁から提供されたCTデータをもとに復元模型を作成した。米国とフランスのチームは頭骨のプラスチック模型を提供されたが、両チームともその頭骨はコーカソイド(白色人種)と結論付け、特に米国チームは北アフリカ人のものと特定した。
 そしてコーカソイドの頭骨という前提にたち、3チームはプラスチック模型に粘土で肉付けし、特徴を明確にしていった。フランスとエジプトの造形作家たちは古代に造られたツタンカーメンの彫像を参考にした。
 フランス・チームの造形作家、エリザベート・デイヌは粘土模型を作成後、シリコーン模型を作り、考古学者のアドバイスを受けながら、ガラスの目を入れ、髪をつけ、肌や唇に色づけをした。

 3チームが作った復元模型は、顔の輪郭、目の大きさや形や位置、それに頭骨の形がとてもよく似たものになった。ただ、違いが鼻と耳の形に表れた。「顔や頭骨の形はツタンカーメンの幼い頃を表現した有名な彫像に驚くほど似ています。それは王が夜明けにハスの花から出てくる太陽神として描かれているものです」とハワス博士は言う。今回の試みによって、法医学的な観点からアプローチする科学的・技術的な方法が、かつての人物の姿を復元するのに有効であることが確認できたとしている。

全ミイラの復元模型を作る計画
 放射線学チームは来月、2005年1月5日にCT検査した他の5体のミイラを調べる。これら5体は、トトメス3世の王墓で見つかった子供のミイラ、セティ2世の王墓で見つかったミイラ、そしてアメンヘテプ2世の王墓の側室で見つかった3体のミイラ(高齢の女性、若者、そして最近になってネフェルトイティ王妃のものと推測されたミイラ)。
 これらの研究は、ハワス博士らが5年計画で進める「エジプト・ミイラ・プロジェクト」の一環だ。同プロジェクトでは、エジプトにある王族以外のミイラも調査する予定。エジプト各地の遺跡や博物館などに散らばっているミイラの数は正確に把握されていないが、カイロ南西のバハリア・オアシスに近い「黄金ミイラの谷」に眠るミイラを含め、すべてのミイラをCT検査して詳しく調査していく計画だ。

 エジプト・ミイラ・プロジェクトでは最終的に、カイロ博物館(エジプト考古学博物館)に現在展示されている王族のミイラもCT装置にかける予定。エジプト最高考古庁は現在、カイロ旧市街に国立エジプト文明フスタート博物館(仮称)を建設中で、今後、カイロ博物館にある王族のミイラは新博物館に移される。それが実現すると、それぞれのミイラにはCTスキャン画像と復元模型が併せて展示される。「私たちは初めて、ミイラをよみがえらせることになるのです」とハワス博士は話す。

復元模型を作成した3チーム
エジプト
ハレド・エルサイード(バイオ医療工学者、チームリーダー)
フランス
ジャン=ノエル・ヴィニャル(法医学者)
エリザベート・デイヌ(造形作家)
米国
スーザン・アントン(形質学者、ニューヨーク大学)
マイケル・アンダーソン(法医学技術者、エール大学ピーボディー博物館)







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