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ボランティア活動で
「支援者の支援」が必要な理由
2011年4月6日

3月30日、東京・永田町のJC会館で、被災地でのボランティア活動を支援する「東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)」が設立されました。ボランティア同士での情報共有もその目的の一つ。意外なことに「初めての試み」だそうです。ボランティア同士の連携を越えた情報の共有が、なぜ今必要なのか。JCNの発足総会を取材すると、今回の震災の被災地・被災者支援では欠かせない大切な視点が見えてきました。

「支援が必要な地域に支援がない」
という状況を起こさない

JCNの大きな目的に「被災地で活動する支援者の支援」にあります。今回の震災の被災地は青森から千葉まで500km以上と広範囲に及びます。そのため「能率的、効率的に支援活動を行うには、現地の情報を集約し、NPOを中心にボランティア活動をする団体で情報を共有化する必要がある」(世話人代表の一人、山崎美貴子氏)からです。

どういうことか、具体的に説明しましょう。
例えば、被災地を支援する団体が個々に被災地に赴いた場合、活動する地域が片寄って支援の届かない地域ができてしまう可能性があります。テレビで報道された地域に、物資や人が集まる傾向があるというのです。

こうしたことを避けるために、「どの地域に支援があり、どの地域に支援がないのかという情報をボランティア活動する団体同士で共有すれば、支援が届かない地域をなくせる」(山崎氏)。「ボランティアが集まり過ぎるなど、被災地に負担をかけない活動が可能になる」(代表世話人の一人、栗田暢之氏)としています。

反対のケースもあります。人手が足りない被災地では、たくさんの支援者が必要です。 情報を共有していれば、新たな団体が赴けます。あるいは機材の不足や炊き出しの手助けなど、より機動的な活動ができると期待されています。

災害ボランティアでは、「どうしても、目の前の活動にのめり込んで、ほかの被災地が今どうなっているかに気が回りにくくなる傾向にある」(栗田氏)。こうした過去の経験が、反映されようとしています。

そのためにJCNのホームページでは、今後グーグルマップのマイマップ機能を使って、避難所や災害ボランティアセンターの設置個所、さらには炊き出しなどの情報を、タイムラグなく表示できるようにします。

●JCN(東日本大震災支援全国ネットワーク)
http://www.jpn-civil.net/

同様の試みは、様々なところで始まっています。
自然体験活動、環境教育を推進する東京・西日暮里のNPO法人日本エコツーリズムセンターは、RQ市民災害救援センターを立ち上げ、このサイトの中でも、活動状況がわかるような地図を作っています(下図)。情報の可視化・共有化は支援活動を大きくサポートしていることがわかります。

●RQ市民災害救援センター
http://rq-center.net/

マーカーをクリックすると、現地からの情報が日付入りで報告されていることがわかる。

団体をマッチングし能率的に支援

さらにJCNでは、参加するボランティアに参加する団体が利用できるメーリングリストやツイッターを使ってお互い情報を交換できるようにもしています。例えば、被災地のニーズをメーリングリストに発信することで共有し、そのニーズに応えられるボランティア団体が手を挙げて駆けつける、という能率的な支援が可能になると考えられています。

つまり、
1・メーリングリスト、ツイッターなどで被災地のニーズ、支援者情報を集約
2・ボランティア活動状況をネット上で見えるようにすることで、支援が届かない地域をなくす
3・支援者同士の連携をしやすくする
ということが、JCNが果たす役割の一つです。

しかも、中央で誰かがコントロールするのではなく、情報は集約しても被災地での行動はボランティアの自主性にまかせるという、ネット時代の新しいボランティアの形を目指している印象を受けました。

意外なことですが、このように多数のボランティア同士が連携して情報共有を図る試みは「初めて」(栗田氏)のことだそうです。3月30日の設立総会では、141団体が参加しました。

JCNに参加しているNPO、NGOの中には、ボランティア元年とも言われる1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災にも参加した経験がある団体があります。当時もボランティアは大きな役割を果たしましたが、実際には活動を通じて「学習したことや反省したことを、今回の支援活動で生かしたい」(山崎氏)と考えたことがJCNの設立につながっていると言います。

JCNの第一義的な役割は「支援者の支援」ですが、もちろん支援者=経験者というわけではありません。今回の震災の特殊性もあり、被災地の状況を反映した「活動ガイドライン」も配布され、これから現地でのボランティアを考える人に参考になる情報が公開されています。

●「東日本大震災 災害ボランティア活動に初めて参加される方へ」
 基礎事項フォーマット

http://www.jpn-civil.net/support/volunteer/post_3.html

ここに掲示された「ボランティアが安全に活動するためのガイドライン」「災害ボランティア活動に初めて参加される方への説明資料」は、災害ボランティアを考える人には、ぜひ読んでほしいものです。

例えば、長期での支援を考えていても「最長は2週間程度」(4月4日版)。その後は一時帰郷し、体力を回復してから現地に赴くべき、とされています。一番の理由は、震災支援経験者から見ても「被災地の状況は依然厳しい」と現在認識されているからです。ほかにも「復旧や復興の主役は被災された方です。ボランティアはそれをサポートする存在であるという原則を忘れないように」など、被災者の心情に寄り添えるための心構えが、わかりやすく書かれています。

ガイドラインは「被災地の現状に合わせてバージョンアップをしていく」とのことなので、最新版をチェックすることをお薦めします。

武内 太一(ナショナル ジオグラフィック日本版 編集委員)


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