地球のいのち

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 「魚が捕れなくなっている!」と叫ばれる近年。世界一の“魚食い”といわれる日本人こそ、これまでの漁業のあり方を反省して、将来にわたって持続可能(サステナブル)な方法に切り替える必要があります。しかし国内では、魚ばなれや食の欧米化などで伝統的な魚食文化が崩れつつあるうえ、漁船の燃料高騰や後継者問題が漁家を圧迫。日本の漁業の立て直しは前途多難という現状のよう――。

 なんていう八方塞がりともいえる状況を「“お魚さん、ありがとうギョざいます”が大切なんですよね」と、お決まりのシャレで打ち破ってくれる、さかなクン。そのよく通る高い声と明るい口調で語られる奥深くも笑ってしまう体験談は、日本の食文化のあり方と、生物多様性保全への取り組みの道しるべとなるはずです。

多様だから面白い! もっと知りたい!!

さかなクンになった、そもそもの経緯を教えてください。

 小学2年生のころ、ノートに友だちがタコのイラストを落書きしたんです。それを見て、「何だこれは?」と思い、図鑑でしらべて、タコのことを知り本物のタコに会いたくて魚屋さんに行ったんです!

 実際にタコを見たら、「かわい~!腕がくるんとしていて、口がひょっとこみたいだ!」と、とても驚いたんです。ところがよく調べたら、ひょっとこの口に見えたのは、呼吸の際に吸い込んだ海水や、危険が迫るとスミを吹くための漏斗という器官で、頭に見えたのは実は胴体、吸盤には味を知る細胞があって…。「見た目と全然違うじゃないか!摩訶不思議だ!」と夢中になりました。

 また、お魚屋さんに並んでいるのは、全て、ゆでダコだったので、生きているタコを見に水族館に行ったのですが、水族館ではガラスがあるから吸盤で吸い付いてもらえない。どうしても吸い付かれたいと(笑)、田舎である千葉の白浜の海に通ったんです。日が昇ってから沈むまで、海藻をかき分けたり岩をひっくり返したりして「タコやーい!どこだーい?」と。タコはなかなかみつからなかったけれど、カエルのように岩の上を飛び跳ねるカエルウオを見たり、漁師さんが捕ってきたマトウダイの口がビョーンと信じられないくらい延びる事に驚いたり。お魚には丸い形、平たい形、赤いお魚、茶色いお魚、シマシマのお魚!いろんな姿・形・色模様のお魚がいて、「面白い!!」と思いましたね。お魚の多様性に引き込まれていきました。

それで、タコだけでなく魚全般に興味をもつようになったんですね。

 ハイ!そうです。さらに一匹一匹細かく観察すると、ヒレ1本、うろこの配列1つ違うだけで、別の種になると分かりました。形はほとんど同じなのに、模様の斑点に縁取りがあるかどうかだけで、カサゴとウッカリ間違いそうになるくらい似ているウッカリカサゴになるのです。たぶんもともとは同じ種だったのが、進化の過程で暮らしてきた環境を徐々に藻場、岩礁、砂地、泥地などに棲み分けることによって、新しい種にどんどん分化していったのかなと想像できます。そうやって考えるのもまた面白いですね!

 また、“食”として、いただいてみると、おいしいだけじゃなく、同じ種のお魚でも、大きさや季節、とれた場所によって脂の乗りが変わったり身の引き締まり方などが、すごく変わる!お魚って不思議!お魚だけにフィッシュぎ!!(笑)。まったく飽きない。知れば、知るほど楽しくて面白いと思うようになりました。それは多種多様だからなんですね。

 お魚からいただく感動は、いつでも風景や、匂いを伴って鮮明に思い出されます。特に、小さなころの自然体験って、一生残るんですね。だから日本中の子どもたちに、もっともっと自然のなかに出て、思いっきり遊んで、お魚にもどんどん触れ合って、興味を持って観察していただきたいです。そうすると、日本にはこんなに多種多様な自然環境があって、だからこそ多種多様な生き物がいると気づく。そして、そのおかげで多種多様な美味しい食べ物をいただくことができるありがたさに気づくことができるでしょう。

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