地球のいのち

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“一瞬一瞬を大切に生きることが、いのちを思うこと”

東儀秀樹さんが2008年に発表したアルバムのタイトルは「Every Little Life~ 生きとし 生けるものへ ~」(ユニバーサルミュージック)。“すべての生命への慈しみにあふれている”“やさしさに満ち、聴く人の心をいやす”など好評を博しています。
そんな東儀さんの目に、いのちの輝きはどう映っているのでしょうか。また、1000年以上も続く文化の継承者として、環境が急激に変化し、希少ないのちが危機にひんする現代の世界を、どう見ているのでしょうか。

その瞬間を大切に生きることが“いのち”を思うこと

昨年のアルバム「Every Little Life~ 生きとし 生けるものへ ~」には感銘を受けました。タイトルにも、とても力強さを感じます。そこで東儀さんに、“いのち”について語っていただこうと考えたわけです。
東儀さんとナショナル ジオグラフィックは何か縁があるそうですね。

 以前、米国のナショナル ジオグラフィックのスタッフと一緒に、ハワイのマウイ島でクジラを観察したことがあります。研究機関の関係者でないと入れない区域でダイビングし、クジラと一緒に泳いだり親子クジラを見たりしました。瀕死の子クジラがいて、死ぬのを待っているホオジロザメに出くわすなど、生と死の瞬間を目の当たりにした強烈な体験でしたね。

 そこでクジラの鳴き声を採集して、僕がピアノで伴奏をつけ「くじらたちのうた」という曲をつくったこともあり、ナショナル ジオグラフィックにはとても親しみを感じています。

曲をつくるときは、まずテーマが先にくるのですか。

 いいえ、テーマを前提にしてしまうと、それに束縛されて作為的になってしまうことがあるのでいやなんです。

 僕が作る曲は、日常生活の何気ないときにふいに思い浮かびます。車を運転しているときとか、歩いているとき、ふっと口ずさむように曲がくる。伴奏も編曲もできた状態で頭の中に聞こえてくるんですよ。「あ、これはいいな」と思ったら、書き留めて形にするのが僕のやり方です。

 曲を形にしていく作業中に反復しているうちに「これはいのちに対する愛おしさみたいなものを感じるな」と自分で気づくわけです。自分自身が作った曲なのに、「君は今、いのちのことをこうやって考えているんだよ」と教えてくれているような気がします。

「いのち」というものについて、どのように考えていらっしゃいますか。

 いのちって、人間の頭で想像する範囲を超えているものだと思うんです。「いのちは、こういうものだよ」と簡単に説明するほうが、嘘のように感じてしまう。大事なもの、計り知れないほど大きなもので、人間には理解しきれないのが「いのち」です。

 理解しようとするのではなく、いのち自体を大切にするべきで、一瞬一瞬を大切に生きることが、いのちを大切にすることだと思います。僕自身は無神論者に近いけれども、たとえば創造主のような存在、あるいは親でもいいんですが、自分をつくってくれた存在に対して、「自分はちゃんと生きているぞ」「人生を無駄にしないで大切にしているから、見ていてくれ」といえることが、いのちを思うことなんだと考えています。

 そう考えるようになったのは、実は過去に何回か死にかけた経験があって、それが少しは影響しているのかもしれないし、2年前に息子が生まれたことも関係しているのかもしれません。動物はみな一生懸命生きていますよね。人間だって必死で生きている。そんな、小さいものから大きいものまで、一生懸命に生きるすべてのいのちの輝きを尊重したいと、日ごろから思っているのでしょうね。昨年のアルバムは、それが曲になって表れたんだと思います。

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