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グリーンデックスとは?

 世界中で環境に対する意識が高まっている――誰しもこんな記事を目にしたことがあるだろう。しかし一人ひとりの選択が環境保護にどう役立っているのか、本当に理解しているだろうか。他の人たちがどのような選択をしているか、ご存知だろうか。環境と調和し、持続可能な世界を実現するために、世界の人々はどのくらい行動しているのだろうか。過去数年間で、世界の人々の行動はどれくらい変化しただろうか。

 米国ナショナル ジオグラフィック協会と国際世論調査機関グローブスキャンは、2008年と2009年に続き、世界17カ国の消費者を対象に、環境と調和した持続可能な消費行動に関する三度目の調査・分析を行った。

 本調査の目的は、各国の消費者が地球環境を守るためにどのような行動をとっているか、人々により広く知ってもらうことにある。そのために、環境と調和した持続可能な消費行動や個人の行動について調査した上で公表し、このような行動を奨励している。

 調査方法は定量調査とし、世界17カ国の消費者、合計1万7000人を対象とした(2008年の調査対象は14カ国)。調査項目は、エネルギー利用と節約状況、交通手段の選択、食品の産地、環境対応製品と従来製品の使用状況の比較、環境とサステナビリティ(環境を破壊することなく資源利用を持続すること)に対する姿勢、環境問題に対する知識などである。調査項目は調査を行う上での要となるため、各国の専門家が協力して決定した。

 この調査結果をまとめたものが、2008年、2009年に続き三度目の実施となる、米国ナショナル ジオグラフィック協会とグローブスキャンの「消費者グリーンデックス」である。世界17カ国における、現在の消費行動および生活様式の物質面に関する持続可能な消費行動指数であり、科学的根拠に基づくものだ。また今後、長期にわたり追跡調査を行い、先進国と発展途上国の各国同士で比較もできるようになる。


全体的な調査結果

 米国ナショナル ジオグラフィック協会と国際世論調査機関グローブスキャンは、「グリーンデックス(Greendex)2010:消費者の選択と環境――国際比較調査」の結果を発表した。「グリーンデックス」は世界17カ国の消費者を対象として、環境に影響を与える消費行動の現状と変化を把握することを目的とした調査だ。そのために、交通機関の選択や家庭におけるエネルギー資源の利用、食品および日常品の購入といった消費状況に加えて、環境への悪影響を最小限に抑えるために消費者がどのような行動をとっているかを評価・比較している。2008年、2009年に続いて3回目となった今回の調査では、調査国17カ国中10カ国で、この1年間に、環境に配慮した行動が増加していることがわかった。調査が始まった3年前以来、国別総合ランキングの最下位は依然として米国で、その次にカナダ、フランスが続くが、得点自体には改善が認められる。

 今回の調査では、2008年から調査に参加している14カ国のうち13カ国で、2008年よりも2010年の方が環境に配慮した消費行動が増加しているという結果が出た。さらに、企業が環境保護を考慮しているようにうわべだけを装う、いわゆる「グリーンウォッシング」が、環境の改善にとって最大の妨げとなっているという事実も明らかになった。より環境に良い行動をとるための妨げとなっている10の阻害要因のうち、「グリーンウォッシング」を指摘する声が最も多く、政府および企業の行動の欠如が僅差でこれに続いている。

 「グリーンデックス2010」は、消費者の行動を総合的に評価するため、「住宅」および「交通」、「食品」、「消費財」の部門別に65の指標を設けて調査を行った。世界17カ国の平均的な消費者の消費行動を、環境に与える影響によって数値化し、ランキングしている。こうした調査は他に例がない。

 2008年と同様、今回の調査で上位にランキングしたのはすべて経済的に発展途上にある国々で、上から順にインド、ブラジル、中国、メキシコだった。2008年に比べて環境と調和した持続的な消費行動が大きく増えたのはインド、ロシア、米国。インド、中国、メキシコ、ロシア、ハンガリー、日本、英国、カナダの平均的な消費者の間では、環境と調和した持続的な消費行動が毎年着実に増加している。反対に、ドイツ、スペイン、スウェーデン、フランスではわずかながら前回よりも減少した。

 前回の2009年の調査と同じく、今回、全般的にグリーンデックス得点が大きく伸びたのは、住宅部門だった。家庭で消費するエネルギーや資源に関して、より持続的な行動が増加しているといっていいだろう。特に米国、ハンガリー、英国、オーストラリアでは得点の増加が著しく、消費者の間で家庭におけるエネルギーの効率的な利用が進んでいることがわかる。国によっては、経済上の施策がこうした変化の誘因ともなっているようだ。交通、食品、消費財の各部門における個人行動の変化はさまざまで、改善した国もあれば、悪化した国もあった。

 消費者がこの1年間で、より環境と調和した持続的な行動をとるようになった大きな理由としては、コストと環境への懸念が挙げられる。「エネルギー消費が減った」と答えた消費者に理由(2つ選択)を尋ねたところ、多くの人が理由の1つとしてコストを挙げているが、環境への懸念を指摘した人も約20-50%にのぼった。

 また今回の調査では、より環境に配慮した持続的な行動を進めていくうえで、障害となっている要因がたくさんあることがわかった。中でも注目すべきは、「グリーンウォッシング」(44%が指摘)が、コストなどの経済的要因(31%)よりも高い割合となった点だ。もうひとつ、大きな障害となっているのが、「政府や産業が積極的に行動しないのに、個人が努力しても無駄だと思う」(40%)という意識だった。「グリーンウォッシング」と、政府・企業の消極性が直接または間接的に持続可能な消費行動を妨げ、グリーンデックスの得点を低下させているのではないかとグローブスキャンは分析している。

 前回と同様、今回の調査でも、インドの消費者が調査国の中で、最も環境と調和した持続的な生活様式をとっているという結果が出た。同時に、環境に配慮した行動の妨げとして「環境問題の深刻さが誇張されていると感じること」を挙げた割合が最も多かったのもインドだ。「環境問題は誇張されていると思うから、環境にやさしい行動をとる気がしない」と答えたのが調査国全体では消費者の4分の1弱だったのに対し、インドでは消費者の40%にのぼった。将来インドの経済発展が続いていけば、こうした考え方が、この国で長い間受け入れられてきた持続可能な生活様式をストップさせる要因となるかもしれない。

 自国が直面する最も重要な課題として「環境」を挙げた人は、米国でわずか1%だったのに対して、中国では2009年より15%上がって37%だった。インドとロシアでも、環境を最も重要な国家問題としてとらえる割合が増加しており、中国と並んで、環境を自国の問題としてとらえる意識が非常に高くなっている。

 国別総合ランキングでは新興国が最上位グループを占めたのに対して、最下位6カ国はいずれも先進国だった。


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