/2006年4月号

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特集

再び脚光を
浴びる原発

APRIL 2006

文=チャールズ・ペティット Photograph by Chris Hamilton


温室効果ガス削減のため、原子力発電への期待が再び高まっている。(この記事は2006年4月号に掲載されたものです。)

 原発の時代が再び訪れる可能性がある。米国では現在、全世界にある原子炉の4分の1に当たる103基の原子炉が稼動している。「原発は金のなる木のようなものです」と、核燃料の専門家ジェームズ・トゥレンコは説明した。米国にある多くの原発では、巨額の建設費はすでに支払いが済んでいるため、「現在は操業コストしかかかりません。こうした発電所で、昼夜の別なく電力がつくられているのです」と言う。

 もちろん、いいことばかりではない。27年前の1979年3月、急成長を続けていた原子力発電への人々の信頼が、にわかに崩れ去った。米国ペンシルベニア州にあるスリーマイル島原子力発電所で稼動中の原子炉の1基が、耐熱限界を上回る高熱によって融解するメルトダウン(炉心溶融事故)を起こしたのだ。そして、その7年後に旧ソ連のチェルノブイリで大事故が発生。さらに、70~80年代に規制が強化されて、原発の建設には10億ドルもかかるようになり、電力会社の原発離れが進んだ。

クリーンな原子力発電

 このため米国では、ここ10年ほど新たな原発が建造されていない。それでも総発電電力量に占める原子力発電の割合は20%と、一定の水準を保っている。15%の伸びを見せる電力消費に合わせて、発電量を増やしてきた結果だ。70~80年代にかけて、米国の原子力発電所では修理やトラブル解決などのために運転停止をしばしば余儀なくされ、発電量の実績は能力の65%以下にとどまった。しかし現在、経験の蓄積と操業方法の改善により、90%を超す発電量を達成している。

 現在、全米の発電量の半分は、原発よりも安上がりな石炭火力発電でまかなわれている。この方法だと地球温暖化の元凶、二酸化炭素が多く出るのが難点で、排出量は米国だけで年間20億トンにも上る。これに対し核分裂により放出されるエネルギーを使う原子力発電では、温暖化をもたらす温室効果ガスは発生しない。米国原子力エネルギー協会の試算によれば、もし米国が原子力発電なしで現在の発電量を維持すれば、排出される炭素の量は年間1億9000万トンも増加するという。

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