• 米国アラスカ州キーナイ半島の海岸でじっとしていたハクトウワシ。数メートルまで接近して撮影した。
  • 2羽のハクトウワシが、鋭い爪とくちばしを巧みに使って肉を奪い合う。陸上でも空中でも獲物の争奪戦は激しく繰り広げられる。アラスカ州キーナイ半島で。
  • 獲物の奪い合いで、首にけがを負い、血だらけになったハクトウワシ。
  • 子育て中の親鳥が太陽に向かって、翼を広げて乾かす。
  • 越冬地であるキーナイ半島南部の海岸に、ハクトウワシが集まっていた。全身が褐色と白のまだらで、くちばしの色がくすんだ幼鳥もいる。
  • 親鳥の胸元に抱かれる2羽のひな。カナダ・ニューファンドランド島で撮影。
  • 孵化後2カ月ほどがたって、体が大きくなったひなのもとに、親鳥が獲物を持って戻ってきた。この時期、親鳥は日に何度も狩りに出かける。

撮影/土屋勝義

 ホッキョクグマやグリズリー、ハクトウワシなど、カナダやアラスカにすむ野生動物を中心に撮影してきた。動物の表情をとらえた写真が特徴だ。ここに紹介したのは写真集『WILD SOUL 極北の生命』に掲載されたハクトウワシの作品だが、こちらを凝視する顔や、争いの後、首回りに血をにじませる姿は、迫力満点だ。

 1969年、東京都生まれ。26歳のとき、自然にかかわり続けるには「写真でいくしかない」と、エンジニアの仕事を辞めた。写真の経験はなかったが、家にあった一眼レフを持ってあちこちに出かけるようになる。

 あるとき、撮影でけもの道を歩いていて大きな雄ジカと対峙した。「いきなり動物と自分の関係を迫られる感じ。シカの瞳を見ていると、それまでイメージしていた動物の存在より、同じ命としての共通項を感じた」。衝撃を受け、体がしびれた。動物を撮ろうと思うようになったのはそれからだ。動物写真家の田中光常氏の助手となって写真を学び、2000年に独立した。

 写真を撮るのは山登りに似ていると言う。「今回はこれを撮ろうと決めて現場に入る。けれど、そうやすやすと動物たちには出会えないし、出会えても、なかなか思ったように撮らせてはくれない。一歩ずつ山の頂上を目指すように、写真も粘って、粘って一枚ずつ撮っていく。そうしていると、最終的に『これだ』と思えるものが撮れることがある。登頂したと感じるその瞬間があるから、写真家をやっていられるのだと思う」

 撮るのは北の動物ばかりではない。日本ではイノシシを継続的に撮っているし、今年から、アフリカの野生動物に目を向けはじめた。「野生動物は自分たちの仲間だという意識がある。同じ目線で立っている一つの命として、動物たちを表現できれば」と語る。2008年、日本写真協会賞新人賞受賞。

『ナショナル ジオグラフィック日本版』2011年5月号「写真は語る」に、写真を追加して掲載した。

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