「世界を目指す人の写真集づくり」

優れた写真集は、写真家、ブックデザイナー、印刷技術者 3者の想いの集積で生まれる。
3者の想いが交錯し高められていく表現。制作過程にはどんな感覚的、技術的やりとりがあったのか、
数多くの写真家の作品を手がけてきたブックデザイナー町口覚氏のナビゲートだからこそ引き出される、
それぞれの心の中にあった「想い」を生の声として聞くことによって
写真集づくりに関わるクリエイターたちに新しい発見をもたらすのが、この講座の目的です。
写真家、ブックデザイナー、印刷技術者による異色の対談に、ぜひご期待ください。

【第1回】2016年11月18日(金)
  • ゲスト写真家

    田附 勝

  • デザイナー

    落合 慶紀

  • 凸版印刷プリンティングディレクター

    十文字 義美

写真集『東北』

出版社:リトル・モア

写真集『東北』について語る。

木村伊兵衛写真賞を受賞した写真集『東北』。田附氏がネガフィルムにこめた魂は、デザイナー 落合慶紀氏、凸版印刷プリンティングディレクター 十文字義美氏にどのように引き継がれたのか。写真家、デザイナー、PDが語る成功写真集の制作秘話。

田附 勝氏
  • 写真家 田附 勝

    ナショナルジオグラフィックの視点から見てドキュメンタリー写真家。運送助手の経験から、電飾豊かなトラック「デコトラ」の撮影を9年間にわたり続け、2007年写真集『DECOTORA』をリトルモアから出版。2011年発行の『東北』(リトルモア、は2006年から通い、東日本大地震の直後に出版した。2012年、第37回木村伊兵衛写真賞受賞。 http://tatsukimasaru.com/

  • デザイナー 落合 慶紀

    1969年 愛知県名古屋市生まれ
    1994年 多摩美術大学卒業
    1998年 有限会社フィッシュデザイン設立
    2006年 有限会社フィッシュデザイン解散
    2007年 株式会社ガレージ設立

  • プリンティングディレクター 十文字 義美

    1967年、凸版印刷株式会社入社。グラフィック・アーツ・センター所属。主に高細線印刷、高彩度印刷やタブルトーン、トリプルトーン、プラチナプリントなどのモノトーンの表現方法を得意とする。写真家、エディトリアルデザイナー、編集者からの指名が多く、数多くの写真集や作品集、画集、絵本、料理本と幅広く手掛ける。最近関与した写真家は、藤原幸一氏、中村征夫氏、本城直季氏、徳永克彦氏、植田正治作品集などがある。

写真集『東北』1
写真集『東北』2
写真集『東北』3

なぜ、表現として写真集を選んだのか?

東北のカラーで表現する上で、闇の漆黒と血の赤を表現できなければ、風土を伝えることはできない。東北の大地を連夜、数百キロ走りぬく、異形のトラック『デコトラ』の取材の中で、写真家、田附勝氏は、異形と風土のかかわりを現す媒体として、写真集を選んだ。

写真集という形を選んだ理由は、自分の表現をページにくくりなおす上での暗黙の了解を、数年にわたり育んできたデザイナー落合慶紀氏という存在がいたからだ。お互いに独立を目指していた頃から、昼、夜に重ね「想い」の表現方法を探ってきた。

プリンティングディレクターの使命は?

東北の夜の闇が、旧家の部屋を、黒く重く封じ込める。闇は部屋の中にも侵入している。東北は、生の生がその闇に潜んでいる。鹿を狩る伝統は、風土の一部だ。したたり落ちる、獲物の血は、肉屋で売られている肉とはかけ離れている。その自然を表す上で、鹿の血の赤は特別な意味を持つ。

写真家とデザイナーが掛け合わさり、さらに突出した想いは、印刷表現の論理に規定されることで、表現の可能性は著しく狭められる。プリンティングディレクターは、データの特徴を読み、インクの特性、紙の質感、複雑なそれらの組み合わせにより「想い」を印刷紙上に適格に表象させる責任を負う。

写真集の価値を決める要素とは?

コーディネーターの町口覚氏は、数多くの写真家の作品を手がけてきたブックデザイナー。パリフォトへの連続出展など、多くの日本写真集を国際的に広めてきた。また、自身で手がける出版社マッチ&カンパニー発行の出版物も数多く、今回は、写真家、デザイナー、印刷技術者の心の中にある「想い」を言葉として引き出す役割を果たす。

『東北』が写真集として仕上がり、社会に流通するまでには多くのスペシャリストが関わっているが、写真家の想いの再現の核は、この三者の関わり方だ。この連携による再現性への知識が、写真集の価値を生み出し、世界でも類を見ない高度な表現物として、評価されている。

この価値を、『東北』の生成過程から、それぞれの「想い」とはなにか。文章では説明しきれない、表現への感覚を、田附、落合、十文字三氏の生の言葉から探りだして欲しい。この講座の主旨は、生の言葉のやり取りであり、そこから呼び起こされる自分の感覚に価値を見出してほしいと思っている。

「世界を目指す人の写真集づくり」

【第1回】田附 勝 『東北』

会 場

2016年11月18日(金):東京・ラーニングスクエア新橋(定員35名)

時 間

18:30開場 19:00〜22:00

受講料

15,000円 (税込)

※都合により、講演者、講演内容は変更になることもございます。あらかじめ、ご了承ください。

【受付を終了いたしました】