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特集

シリーズ 70億人の地球
沈む国土に生きる

MAY 2011

文=ドン・ベルト/写真=ヨナス・ベンディクセン

口が増える一方で、低地が水没するバングラデシュ。世界がやがて直面する問題にいま向き合っている住民たちは、この難局をどう乗り切ろうとしているのか。

 「70億人の地球」シリーズの第4弾。ガンジス川のデルタ地帯に位置する“ベンガル人の国”バングラデシュ。日本の面積の40%ほどの国土に、およそ1億6000万人が暮らし、都市国家を除くと世界で最も人口密度が高い(1127人/km2)。大河がもたらす水と肥沃な土壌により、この国では稲作が盛んに行われてきた。しかし、大河は時として牙をむく。激しいモンスーンの襲来により、毎年のように川が氾濫し、多くの被害を出してきた。人々はそうした土地で暮らしているのだ。

 状況はさらに悪くなりつつある。地球温暖化の影響で、海面が上昇し、バングラデシュの低地が水に沈む恐れが高くなっている。ある予測によれば、2050年、この国の面積の15~20%が水に沈む可能性があるという。別の予測では、この年、同国の人口は2億2000万人に達するとみられている。

 増える人口と水没する国土――。これはバングラデシュだけの問題ではない。世界人口の3分の2以上が、海岸線から100キロ以内に暮らしていて、海面上昇の影響を受ける可能性があるのだ。近い将来、世界の人々が直面するかもしれない問題に、バングラデシュの人々は今、直面している。彼らの姿は、明日の私たちの姿なのだろう。

 バングラデシュの人って、なんてたくましいんだろう――。家が水没してもくよくよ 考えず、引っ越しを繰り返しながら妻子を食べさせてきた甲斐性のある男性、太陽電 池を利用した水上学校で学ぶ子供たち、新婚家庭を回って家族計画を教える保健師の 女性……。厳しい状況になっても、柔軟な適応力と強靭な意志で難局を乗り切ってき た人たちの奮闘ぶりは、今の日本の姿と重なるような気がしました。(編集T.F)

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