/2011年2月号

トップ > マガジン > 2011年2月号 > 特集:厳冬のキンシコウ


最新号のご案内

ナショナル ジオグラフィック日本版 2016年9月号
日経BP書店
アマゾン

ナショジオクイズ

米国の国立公園、グランドキャニオン横断の記録を初めて残した探検家といえば?

  • ウィリアム・クラーク
  • ジョン・ウェズリー・パウエル
  • メリウェザー・ルイス

答えを見る

ナショジオとつながる

メールマガジン無料登録(週2回配信)

メルマガ登録の詳細はこちら


特集

厳冬のキンシコウ

FEBRUARY 2011

文=ジェニファー・S・ホーランド 写真=シリル・ルオソ

さふさの毛皮と平べったい鼻が特徴のキンシコウ。気温が氷点下になる中国内陸部の山岳地帯で、極寒の冬を生き抜く姿を追った。

 中国中部に連なる秦嶺(チンリン)山脈の高み、厳しい寒さのなかでキンシコウは暮らしている。1万年余り前に最終氷期が終わって気候が温暖化するにつれて、生息域は狭まっていたが、近年の森林伐採や宅地開発でさらに狭まった。肉や美しい毛皮、漢方薬にする骨を狙うハンターの脅威もある。多くは、標高3000メートル近い山岳地帯でひっそりと長い冬を過ごす。

 現在の生息数は約2万匹。キンシコウの保護のために設けられた西安近郊の国立周至(チョウチー)自然保護区とその周辺には、約4000匹が生息する。学名である「リノピテクス・ロクセラーナ(Rhinopithecus roxellana)」は、16世紀のトルコ後宮に実在した皇帝の愛人で、鼻が低くて上を向いたロクセラーナにちなんだものだという。

 キンシコウは時に400匹を超える大きな群れをつくり、互いに助け合いながら、ウンピョウなどの捕食者から逃れる。雌は出産経験のあるほうが、社会で優位に立つ。一方、雄は複数の交尾相手がいるほうが優位となるほか、「勇気と忍耐力」を見せると地位が上がる、と西安の西北大学の生物学者、斉暁光(チーシアオグアン)は話す。縄張り争いの時、「雄は戦って敵を追い出すことで力を誇示する」そうだ。戦うと言っても、主に自分の身を守るために威嚇するだけであって、相手を傷つけることはほとんどない。

 それにしても、なぜこんな奇妙な顔になったのか? 確かなことは不明だが、米国ペンシルベニア州立大学の霊長類学者ニーナ・ヤブロンスキは、「毛のない鼻が出っ張っていると凍傷になりやすい」から平たくなったのではないかと推測する。

年間購読のお申込はこちら

ナショナル ジオグラフィック日本版 バックナンバー