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特集

ようこそ、
パリの地下世界へ

FEBRUARY 2011

パリの地下世界 観光ガイド

リの広大な地下ネットワークは本来、立ち入り禁止だ。とはいえ、合法的に入る方法もいくつかある。歴史と神秘、そして不気味な構造物が交錯する地下世界をのぞいてみよう。


パリ下水道博物館
Les Egouts de Paris

 地下に造られた人気の博物館。ここでは2000キロ以上に及ぶ下水道網の一部を見学できる。かつて下水道の洗浄に使われた巨大な鉄球や時代物の流水式洗浄機が展示され、1370年に完成した最初の下水道から今日に至るまでの歴史も詳しく解説されている。パリの下水道はもともと、コレラやペストなどの病気の伝染を食い止めるために造られた。下水道誕生の一番の功労者といえば、ジョルジュ=ウジェーヌ・オスマン男爵だ。彼は1852年から1870年にかけてパリ市街の近代化を手がけた人物で、なかでもエグー(フランス語で下水道の意)は、彼の最上の仕事だといわれている。事実、オスマン男爵は、飲用水を引き込んで下水を排水する方法を考案し、パリの地下にまるで都市のような下水道網を造り上げた。なにはともあれ、ここを訪れれば、中世が遠い昔となったことをしみじみとありがたく思うに違いない。当時の人々は汚物を処理する際、しびんにためた尿を窓から捨てて、下の通りを歩く人たちに向かって「ガルデ・ロー!(水に注意)」と叫んでいたのだから。

住所:Pont de l'Alma, 93 quai d'Orsayの正面
電話:01-53-68-27-81
休館日:木、金曜
ウェブサイト:www.paris.fr
入館料:4.30ユーロ
メトロ:アルマ・マルソー駅


パリの地下墓地

 モンパルナスのダンフェール=ロシュロー広場に並ぶにぎやかなカフェ。その地中深くには、不気味な地下墓地がひっそりと広がっている。かつては石灰岩の採掘場だったこの地下墓地は、総延長300キロ超にわたって複雑に延びる地下トンネルの一部だ。1785年から1860年までの間に、街なかの墓地にあふれかえっていたパリ市民600万人分の遺骨が、この場所に収容された。怖いものが苦手な人は、やめておいた方がいいだろう。天井が低く薄暗い通路を歩いていくと、骨を器用に組み合わせて、3メートルほどの高さまで積み上げてある場所を通る。骨は種類別に積まれ(こちらには脛骨、あちらには大腿骨といった具合だ)、ところどころに頭蓋骨がのぞいている。標識には、それぞれの骨の山が、もとはどの墓地に埋葬されていたかが記されている。マドレーヌ寺院の墓地から掘り出された骨のなかには、マリー・アントワネットやロベスピエールの骨が含まれているという噂もある。

住所:1 avenue du Colonel Henri Rol-Tanguy
電話:01-43-22-47-63
休館日:月曜
ウェブサイト:www.catacombes.paris.fr または www.carnavalet.paris.fr
入場料: 8ユーロ
メトロ:ダンフェール=ロシュロー駅


サンマルタン運河

ナポレオン1世は19世紀初頭、セーヌ川の蛇行部分を短縮し、増え続けるパリ市民に真水を供給するために、サンマルタン運河を建造した。後年、オスマン男爵によって、地上を流れていた運河の一部が地下に移された。パリの遊覧船が集まるアルスナル港からガラス張りの船に乗り込めば、全長およそ5キロのサンマルタン運河の旅を堪能できる。バスティーユ広場の下を通る、19世紀に造られたトンネルに入り、闇に包まれた運河を体験しよう。トンネルの真上には地下聖堂があり、1830年の七月革命に倒れた500人以上の犠牲者の遺骨が眠っている(犠牲者の名前は、地上に建つ七月革命記念柱に刻まれている)。1.5キロほど行くと、運河は地上に顔を出し、計3時間のクルーズはここから先、優美な錬鉄製の橋や、8つの閘門(こうもん)が連なる穏やかな風景のなかを、ゆったりと進んでいく。運河沿いには、マルセル・カルネ監督の映画『北ホテル』の舞台ともなったオテル・デュ・ノールや、現存する建物としてはパリでもっとも古いサンルイ病院などがある。

住所:Bassin de la Villette, 13 quai de la Loire
電話:01-42-39-15-00
ウェブサイト:www.canauxrama.com(出発時間はウェブサイトで要確認)
入場料:16ユーロ
メトロ:バスティーユ駅(ツアーはラ・ヴィレット貯水池からも出発、メトロ:ジョレス駅)


ノートルダム広場の地下聖堂
Crypte Archeologique du Parvis de Notre-Dame

1960年代、ノートルダム大聖堂に面した広場の地下から、遺跡が発掘された。この遺跡は現在、発掘されたのと同じ場所で、地下聖堂博物館として公開されている。展示されているのは、パリ最古の城壁の基礎部分(3世紀)や、小さなタイルを敷きつめた床などローマ時代の住宅の防御設備(2~3世紀)、昔のオテル・デュー(施療院)の地下室(14世紀)など。縮尺模型と解説パネルを見れば、時代の流れにともなうパリの発展の様子がよくわかる。

住所:7 parvis de Notre-Dame, place Jean-Paul II
電話:01-55-42-50-100
休館日:月曜
ウェブサイト:www.crypte.paris.fr またはwww.carnavalet.paris.fr
入場料:3.30ユーロ
メトロ:シテ駅、サンミシェル駅


国立中世美術館
Musee National du Moyen Age

ルテティア(現在のパリ)に暮らしたローマ人は、温かいお風呂に入れる浴場を造ったことで知られる。なかでも特に大型の浴場は、紀元1世紀から4世紀に使われていたもので、その一部は15世紀になって、オテル・ド・クリュニー(大修道院長たちが暮らした邸宅)に組み入れられた。この建物は現在、国立中世美術館となっている。もっとも保存状態のよい部屋は、高いアーチ形天井があるフリギダリウム(冷浴場)で、建築当時に描かれた壁画やモザイクがかすかに残っている。この部屋をはじめとするガロ=ローマ時代の各部屋には、貴重な中世の美術品が展示されている。水曜午後2時から開催されるガイドツアーでは、浴場の地下遺跡をよりくわしく見ることができる。

住所:6 place Paul-Painleve
電話:01-53-73-78-16
休館日:火曜
ウェブサイト:www.musee-moyenage.fr
入場料:8ユーロ
メトロ:クリュニー=ラ・ソルヴォンヌ駅、サンミッシェル駅、オデオン駅


中世のルーヴル

世界に名だたるルーヴル美術館の地下では、1190年から16世紀初頭までこの場所に建っていた王宮の基礎部分を見学できる。薄暗い灯りの中、中世の堀の周囲を歩き、美しく復元された石の城壁のそばを通って、地下牢に入ってみよう。まるで洞窟のようなサンルイの間は、ぜひ見ておきたい。円柱やアーチ形天井など、中世の建物の内部が今も残っている。

住所:34-36 quai du Louvre
電話:01-40-20-53-17
休館日:火曜
ウェブサイト:www.louvre.fr
入場料:9.50ユーロ
メトロ:パレ・ロワイヤル=ミュゼ・デュ・ルーヴル駅

メトロ
The Metro

全長200キロを超える線路が、300の駅や、互いに連なるいくつものトンネルを巡りながら、パリの地面の下をジグザグと走り抜ける。それが、1900年に誕生したメトロ網だ。乗車券ひとつで、足早に行き交う乗客、演奏して小銭を稼ぐミュージシャンたち、そしてたくさんのアートに出会える。ADEMAS(スプレイグ車両広報協会)の主催するウォーキングツアーでは、地下鉄の歴史やアールヌーヴォーの意匠などについて、さらに深く学べるだろう。ツアーの目玉は、第二次世界大戦以降使われていない「幽霊駅」だ。ここには、はるか昔に姿を消した商品を宣伝する広告が、今も貼られたままになっている。週末に不定期で開催されるツアーの予定は、ウェブサイトで確認を。

住所:34-36 quai du Louvre
メール:secretariat@ademas-assoc.com
参加費:12ユーロ

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