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特集

新・人類進化の道

JULY 2010

文=ジェームズ・シュリーブ

間はどこで生まれ、どのように進化してきたのか。その手がかりは440万年前の人類の祖先「アルディ」が暮らしたエチオピアにあった。

 熱帯の強い日差しを浴びる乾いた大地。ここエチオピアのアファール低地では、実にさまざまな“死のドラマ”が繰り広げられてきた。

 病気で命を落とすのは言うまでもなく、野生動物に襲われることもあれば、崖(がけ)から転落することもある。なかには、東のアワシュ川をはさんで敵対するアファール族とイサ族の銃撃戦に巻き込まれて、非業の死を遂げる人もいる。

 アフリカでは、死はとりたてて珍しい出来事ではないかもしれない。だが、アファール低地が他の地域と違うのは、数百万年も前に死んだ人類の遺体の一部が見つかることだ。

 アフリカ大陸を南北に貫く地殻の裂け目、大地溝帯にあるこの一帯では、遠い昔から活発な火山活動や地殻変動が続いてきた。いにしえの死者の骨は降り積もる火山灰や土砂に埋もれ、やがて悠久の時を経て、化石として地表に姿を現す。

 「この地域では、何百万年もの間、生と死が繰り返されてきた。ときどき幸運の女神がほほ笑んで、残された痕跡が見つかるんだ」。そう語るのは、米国カリフォルニア大学バークレー校の古人類学者ティム・ホワイトだ。エチオピア人の研究者ブルハニ・アスフォーとギデイ・ウォルディゲブリエルとともに、人類の起源と進化の過程を解き明かす「ミドルアワシュ調査プロジェクト」を率いる人物である。

 調査チームは15年前、アファール低地のミドルアワシュ地域で、幸運の女神から素晴らしい贈り物を授かった。ヤルディ湖の北30キロほどの発掘地点、アラミスで見つかった440万年前の人類の骨格化石“アルディ”だ。アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)に属する成人女性の化石で、2009年10月に米国の科学誌『サイエンス』で詳しい研究成果が発表された。1974年に同じくアファール低地で見つかったアウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)の成人女性“ルーシー”より100万年以上も古く、人類とチンパンジーの共通の祖先について、ルーシーよりもはるかに多くの手がかりを与えてくれる。

 ミドルアワシュで見つかっているのは、アルディだけではない。600万年近く前の猿人の骨から、16万年前のホモ・サピエンスの骨まで、さまざまな年代の人類の化石が出土している。類人猿が現代人に至る進化の歩みをたどるのに、この一帯ほど適した場所は他にない。

 ホワイトは化石の出土地点を、地球の過去をのぞく“窓”にたとえる。ミドルアワシュでは、比較的狭い範囲内に点在しており、2日ほど歩けば見て回れるという。ホワイトの誘いを受けて、“窓めぐり”の旅をすることになった。ヤルディ湖を出発点として、時の流れをさかのぼり、人類の過去へと向かう徒歩の旅だ。進化の系譜に現れたさまざまな種を見ていくうちに、私たちが“人間らしさ”と考えている特徴が一つずつ脱落して、人類の起源に迫れるだろう。

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