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特集

ハッザ族
太古の暮らしを守る

DECEMBER 2009


 オンワスのような伝統的なハッザ族は、ほとんど物を所有しない。家財道具は、鍋、水を入れる容器、斧(おの)など、毛布で包んで肩に背負えるほどしかない。

 女性たちは、ベリー類やバオバブの木の実を集め、地面を掘ってイモ類を採る。はちみつ集めと狩りは男たちの仕事だ。夜にヒヒ狩りをするときは集団だが、こうした大掛かりな狩猟は年に数回しか行わず、普段は単独で狩りをする。鳥、ヌー、シマウマ、スイギュウ、イノシシと、仕留められるものは何でも食べる(ただし、ヘビは嫌いで、決して手を出さない)。

 好物はヒヒだ。ハッザの男たちは、ヒヒを5頭仕留めなければ女性と一緒になれないのだと、オンワスは冗談で言った。

 男たちが狩りで使う矢には、毒が付けられている。この毒は、“砂漠のバラ”と呼ばれる灌木、アデニウムの樹液を煮詰めたもので、キリンを倒せるほど強力なものだ。

 ハッザのキャンプに暮らすのは、血縁者と配偶者の家族、友人など、緩やかなきずなで結ばれた集団だ。それぞれのキャンプに数人の中核的なメンバーがいる。オンワスの二人の息子ギガとンガオラは、おおむね父親と行動をともにするが、他のほとんどのメンバーは、気の向くままに集団に加わったり、出て行ったりする。

 ハッザの集団に、公式の指導者はいない。各キャンプは、「オンワスのキャンプ」というように、伝統的に最年長の男の名前で呼ばれるが、その長老が特別な権力をもつわけではない。個人が自分の考えで行動するのがハッザの流儀だ。大人は、誰からも命令されず、誰にも命令しない。富の格差もない。そもそも、誰も財産をもっていない。しきたりや儀礼に縛られることもほとんどない。誕生日、宗教的な祭日、記念日など、特別な祝い事もない。

 寝る時間も自由だ。夜遅くまで起きていて、昼間の暑い時間に居眠りをする者もいる。夜明けと黄昏(たそがれ)どきは、狩りの時間だ。他の時間は、男たちはキャンプにいて、矢軸を調整したり、弓の形を整えたり、キリンやインパラの靭帯(じんたい)で弓に張る弦をつくったり、矢じりに釘を打ち込んだりしている。釘は、はちみつと交換に手に入れる。色とりどりのプラスチックやガラスのビーズもそうだ。女性たちはそれらをつないで首飾りをつくり、気に入った男に贈ることもある。

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