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特集

超巨大火山
イエローストーン

AUGUST 2009

文=ジョエル・アッケンバーク 写真=マーク・ティッセン 図解=エルナン・カニェーリャス

界最大級の火山地帯である、米国イエローストーン国立公園。その地下には巨大なマグマだまりが横たわる。大噴火の可能性は?

 1870年8月29日、米国陸軍少尉だったグスタフ・ドーンは、西部地方を探検中にウォッシュバーン山の山頂に立った。

 そして、南の方角を見渡したとき、あることに気づいた。ほかの方角はすべてロッキー山脈の山並みが迫っていたが、南側だけは森林に覆われた広大な窪地が数キロにわたって続き、その先に山がそびえていたのだ。ドーンはそうした地形ができた理由を考え、次のように書き記した。「この広大な窪地は、現在は死火山となっている火山の噴火口だ」

 ドーン少尉は正しかった。イエローストーンは火山なのだ。それも並大抵の火山ではない。米国で最も古い歴史をもち、最も有名なこの国立公園は、地上最大級の火山の真上に位置している。だがドーンの説は、ある点で決定的に間違っていた。イエローストーンは死火山などではなく、今も活発に活動しているのだ。

 火山のなかには、超巨大火山(スーパーボルケーノ)と呼ばれるものがある。この用語は、英国放送協会(BBC)が2000年に放送したドキュメンタリー番組がきっかけで知られるようになったものの、まだ定義が定まっていない。ただ、科学者のなかには、並外れた規模の噴火を起こす火山を指して、この用語を使う人もいる。

 米国地質調査所では、1回の噴火で1000立方キロ以上の岩石と火山灰を噴出する火山を超巨大火山と呼んでいる。これは、3万6000人以上の死者を出した、1883年のインドネシア・クラカタウ火山噴火の50倍を超す規模だ。通常規模の噴火では山塊が形成されるが、超巨大火山が噴火した場合、山塊は跡形もなく吹き飛ばされてしまう。また、生態系への影響では、一般的な火山噴火は周囲数キロの範囲にとどまるが、超巨大噴火は地球全体の気候を変え、いくつかの生物種を絶滅の危機に追い詰めることとなる。

 有史以来、超巨大火山が噴火した記録はないが、地質学者たちはさまざまな痕跡を基に、その様子を次のように推測している。まず、地下深くから“プルーム”と呼ばれるマントルの流れが上昇してくる。巨大なキノコのような形をしたプルームは、地殻下部の岩石を溶かし、地中の巨大なマグマ溜(だ)まりに、高い圧力のかかったマグマや溶解した岩石、水蒸気、二酸化炭素などを充満させる。その後、長い時間をかけて、この空洞にマグマがさらに溜まり、地表は数センチ隆起してドーム状になる。その周縁にできた亀裂から、マグマ溜まり内部の圧力が解放されると、それまでマグマに溶けていたガスが一気に噴出して噴火を起こす。

 「ちょうどコーラの瓶を振ってから栓を抜くようなものです」と話すのは、1960年代からイエローストーン火山の研究をしてきた米国地質調査所のボブ・クリスチャンセンだ。噴火によってマグマ溜まりが空になると、地表は陥没して、後には巨大なカルデラが残される。

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