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特集

暴走する雨の脅威

APRIL 2009

文=エリザベス・コルバート

球温暖化が進むと、雨の多い地域では豪雨が増え、乾燥地では干ばつが深刻化するという。世界各地の雨はどう変わるのか。

 世界最古の帝国アッカドが、中東のチグリス川とユーフラテス川にはさまれた地域、メソポタミアに誕生したのは、いまからおよそ4300年前のことだ。同じくアッカドと呼ばれた首都は、現在のバグダッドのすぐ南に位置していたといわれている。その勢力範囲は、北は現在のシリア、西はアナトリア地方、東はイランにまで及んだ。アッカド人は秩序だった組織と優れた兵力を誇り、国は繁栄を謳歌した。

 ところが、建国から約1世紀後、アッカド帝国は突然、終焉を迎える。末期には、わずか3年間で4人もの皇帝が矢継ぎ早に交代するといった事態も起きていたようだ。

 専門家たちは長年、政治上の失敗がアッカド帝国の滅亡を招いたと考えてきた。だが10年ほど前、気候科学者が湖底や海底から収集したデータを分析したところ、意外な事実が判明した。帝国が崩壊したのとちょうど同じ頃、周辺地域の降水量が著しく低下していたというのだ。最近では、アッカド帝国を滅ぼしたのは、極度の干ばつだと考えられている。


 近年になって、降水量の変動と文明の消滅が関連づけられるようになった例は、ほかにもある。アッカド帝国と同時期に崩壊したエジプト古王国や、南米アンデス山脈のティティカカ湖周辺で1000年以上にわたって栄え、紀元1100年頃に消えたティワナク文明、そして紀元800年頃、最盛期のさなかに衰退した古代マヤ文明などがそうだ。

 これら古代の文明を滅ぼすほどの降雨変動が起きたのは、産業革命で大気汚染が深刻化するよりずっと前だ。自然発生的な要因が引き金となったことは確かだが、原因は謎のままだ。これに対して、大気中の温室効果ガス濃度の上昇が現在引き起こしている気候変動の原因は、私たち人間の行為にほかならない。

 暖かい空気は水蒸気(それ自体が温室効果ガスでもある)をより多く含むことができる。実際、気温が1℃上昇するごとに、地表近くの大気中の水蒸気量は約7%増加する。

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