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特集

地球にひとつの生命
浜辺で恋する
ミナミゾウアザラシ

NOVEMBER 2008

文=スーザン・ケーシー 写真=イバ・モマトゥーク、ジョン・イーストコット

西洋のサウス・ジョージア島に恋の季節がやってきた。ミナミゾウアザラシの雄は、ハーレムの支配権をめぐって壮絶な戦いを繰り広げる。

 海の捕食者としてはいささか凄味に欠ける、ミナミゾウアザラシ。体は大きいが、マッコウクジラの堂々たる風格もなければ、流線型のホホジロザメのスピード感もなく、シャチのように優れた知能をもつわけでもない。そして、あの珍妙な鼻。ゾウアザラシという名前の由来となった雄の鼻は、長さ約50センチに達することもある。

 見たところは、実に奇妙な動物だ。自動車ほどもある巨体は、まるでずんぐりした飛行船。陸にいる時はたいてい、浜辺でごろごろと寝そべっている。だが、鈍重そうな姿にだまされてはいけない。ミナミゾウアザラシの暮らしは意外にも、華々しい活劇に彩られているのだ。

 その様子を見たければ、まず南米大陸を南下してフエゴ島まで行くことだ。そこから東に向きを変え、フォークランド諸島のさらに先へ、約1600キロ進むとサウス・ジョージア島にたどり着く。島の全長は約160キロ。南極大陸をとりまく南極海にぽつりと浮かぶこの島には、頂を氷で覆われた険しい山々がそびえている。

 一生の8割をこの海で狩りをして過ごすアザラシたちにとって、サウス・ジョージア島は理想的な出会いの場だ。恋の季節になると、40万頭ものミナミゾウアザラシが浜辺にひしめく。

 彼らが集まるのは9月半ば。第一陣の雄が石ころだらけの浜に到着すると、血みどろの戦いが幕を開ける。鼻が裂け、皮膚がむけ、目玉がえぐれて取れてしまうこともあるすさまじい戦いだが、その結果はきわめて重要な意味をもつ。争いに勝って繁殖のチャンスを手に入れる雄は、たった3分の1なのだ。

 戦いで最も重要なのは、体の大きさだ。雄の体重は4トンに達することもあり、最も大きな雄が優位に立つことが多い。縄張り争いの最中には、鼻を使ったディスプレー行動もよく見られる。通常は、その大きさを誇示するが、鼻を鳴らしたり、ふくらませたりすることもある。

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