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特集

標的は地球?
小天体接近

SEPTEMBER 2008

文=リチャード・ストーン 写真=スティーブン・アルバレス

陽系には数多くの小惑星や彗星が存在し、地球といつ衝突しても不思議ではない。危険な小天体が迫った時、人類は壊滅的な事態を防げるのか?

 天文学者デビッド・トーレンは2004年6月18日午後9時過ぎ、米国アリゾナ州にあるキットピーク国立天文台で、“天文学上の盲点”と呼ばれる宇宙の一角で小惑星を探していた。地球の軌道のすぐ内側に当たり、太陽光が強すぎて天体望遠鏡での観測が難しいこのエリアには、地球に接近する小天体が潜んでいることがある。トーレンは知り合いの技術者ロイ・タッカーと同僚ファブリツィオ・ベルナルディと一緒にコンピューターの画面に目を凝らしていた。画面には、数秒おきに同じエリアを撮影した写真が順番に表示されていく。「こいつだ」。タッカーはそう言うと、白い点の塊を指さした。

 トーレンは観測結果を、小惑星や彗星に関する情報が世界中から集まる国際天文学連合小惑星センターに報告した。トーレンたちは、数日中に再び観測したいと思っていたが、雨が続き、小惑星はそのまま姿を消してしまった。

 問題の小惑星が再び確認されたのは同年12月。この時、天文学者たちは厄介な事実に気づいた。屋内競技場よりも大きなこの巨岩が、数年に1度、地球に恐ろしいほど近づくことがわかったのだ。多くの観測情報が報告されるに至り、この小惑星は、エジプト神話の破壊の神にちなんで「アポフィス」と命名された。その後、2029年4月13日にアポフィスが地球に衝突する確率が40分の1あるという予測が公表され、世界は不安に包まれた。

 しかし、2004年12月26日にインド洋大津波という現実の大災害が起こると、多くの人がアポフィスの脅威を忘れていった。一方、天文学者たちは過去に撮影されていたアポフィスの画像を見つけ出し、追加のデータを加えて軌道を計算し直した。その結果、2029年には地球の近くを通過するだけで、衝突の恐れはないことが判明した。それでも、次にアポフィスが地球に接近する2036年4月13日に、衝突する可能性はわずかながら残っている。

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