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特集

地球の悲鳴
米国西部を襲う
干ばつの脅威

MARCH 2008

文=ロバート・クンジグ 写真=ビンセント・ラフォレ

かな水資源を利用して開拓され、発展を続けてきた米国西部。だが今、深刻な干ばつによって森林が乾燥し、各地で山火事が発生している。

 樹木は、たえず栄養を与えられていれば、人間と同じように順調に育つ。

 樹木の年輪の研究者たちによれば、米国西部のコロラド川流域の平野に自生する、湿った厚い土壌に根を張った木々は順調に育った木の好例だ。こうした樹木は気候変動の歴史を調べるうえではあまり役に立たない。降水量の少ない年でも年輪の幅が広くなるからだ。

 気候変動の推移を調査するには、コロラド川の年ごとの水量の変化に合わせて年輪の幅が変化している樹木を見つける必要がある。そのような木を探して、研究者たちは流域の岩だらけの急斜面をよじ登り、伐採者なら見向きもしない、曲がりくねった木を探す。環境の変化に「敏感な」こうした木は、順調に育った木よりなぜか寿命が長いらしい。「苦労を知らずに育った樹は人間と同じように周りの環境に鈍感になってしまいます」と、米アリゾナ大学の年輪研究所の研究者デイブ・ミーコは話す。

 ミーコは、ここ数十年間の米国西部の気候変動の歴史を調べている。年輪の実地調査にはあまり費用がかからない。それでも降水量の多かった1980年代から90年代前半まで、ミーコはわずかな研究資金を集めるのにも苦労した。「実際に干ばつにならないかぎり、干ばつの研究は注目されないのです」と、ミーコ。

 ところが2002年に、米国南西部が3年続きの干ばつに見舞われると、各地で降水量の最低記録が続出し、コロラド川の水量は例年の4分の1にまで落ち込んだ。これで干ばつに対する関心が一挙に高まった。

 コロラド川は米国の七つの州とメキシコに暮らす3000万人に水を供給している。中西部のデンバー、ラスベガス、フェニックス、ツーソン、ロサンゼルスなどの都市は、みなコロラド川の水を利用している。コロラド川からの水の恵みに浴する農地は1万6000平方キロにも及び、コロラド川がなかったら大半が砂漠化していた農地で、現在、数十億ドル分もの農作物が生産されている。

 19世紀になると、コロラド川流域の各所に水量計が設置され、流域の土地に川の水を1エーカーフィート(1エーカー当たり水深1フィート)単位で、つまり0.4ヘクタールの土地に約1235トンずつ水を供給するようになった。現在コロラド川流域では、いくつものダムや人造湖、導水管からなる複雑な水利システムを経由して川の水を周辺の土地に引いているが、取水量はこの19世紀の水量計で測った水量を基準にしている。2002年、流域の水資源管理者たちは、100年以上も前に設定されたデータに頼ってよいものか案じはじめていた。

 それから数年間、ミーコは同僚のコニー・ウッドハウスらとともに、コロラド川の上流域で、干ばつの影響が年輪に刻まれている樹齢の古い樹木や枯れた木を採取し、その年輪を調べた。この乾燥した土地では倒木がいつまでも朽ちずに残っている。数多くの古木を採取して調べた結果、コロラド川の水量の変化が中世までさかのぼって推計できるようになった。調査結果は2007年の春に発表され、コロラド川は、20世紀の頃のような豊富な水量をずっと保ってきたわけではないことがわかった。

 ミーコらの研究を資金面で支援してきたカリフォルニア州水資源局は、調査結果をポスターにして発表した。ポスターには、南西部の過去の風景写真が並び、その下に年輪で判明した川の水量の変化を表すグラフが、西暦762年から2005年まで、左から右に表示されている。グラフは神経質に上下動を繰り返している。

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