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特集

シリーズ「地球の悲鳴」
最後の温帯雨林
再生の行方

AUGUST 2007

文=ダグラス・H・チャドウィック 写真=メリッサ・ファーロー

界に残る原生の温帯雨林の約3割を占める米アラスカのトンガス国有林。「保護」か「開発」か。巨木の森の再生をめぐる論争の行方を追う。

  巨木がそびえ、野生動物が生命を謳歌する。雄大な山々に抱かれた氷河がはるかな時を経て海に達し、入り江でクジラが潮を吹く。それが米国アラスカ州南東部の自然だ。カナダのブリティッシュ・コロンビア州北部と太平洋にはさまれたこの一帯では、霧に包まれた急峻な山々とフィヨルド、1000を超す島々が入り組んだ地形を織りなしている。

 アレクサンダー諸島の名で知られるこれらの島々があることで、直線距離だと800キロに満たないこの一帯の海岸線の総延長は約2万9000キロに及ぶ。1万カ所以上の河口と総延長2万2000キロあまりの河川は、海からやってくる魚たちの産卵の場となっている。この地域の土地の約5%は、先住民または州の所有地で、12.5%はグレーシャー・ベイ国立公園・自然保護区だ。そして残りの670万ヘクタールは、すべてトンガス国有林に含まれる。

 トンガスは、米国の国有林のなかでも圧倒的に広いが、大半の人々にとっては日常とは無縁の遠い存在にすぎない。しかし、トンガスの森林伐採は数十年に及ぶ激しい対立と法廷闘争を引き起こし、ついには米連邦議会の介入を招いた。公有地の生物資源をいかに管理していくべきか――この論争の舞台として、トンガスは今や米国民の注視の的になっている。

 トンガスの森は正確には“国有の温帯雨林”だ。この森の原生林はきわめて豊かな生態系をもち、単位面積当たりの生物資源量(バイオマス)は、熱帯のジャングルよりも多い。温帯雨林はかつて、北半球のノルウェーから南半球のチリまで世界各地に分布していたが、その多くが伐採の対象となってきた。米国では、アラスカとハワイを除く48州で、原生林の96%がすでに伐採されている。トンガス国有林は、米国に今なお残る巨木の森林としては最も広大で、世界に現存する原生の温帯雨林全体の3割近くを占める、貴重な自然の宝庫なのだ。

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