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特集

ボツワナで生き抜く
ヒョウの母娘

JUNE 2007

文=デレック・ジュベール 写真=ビバリー・ジュベール

大なオカバンゴ・デルタが生んだ感動の物語。愛らしい子ヒョウが母親から狩りの技術を学び、一人前の捕食者に成長するまでを追った。

 巣穴から明るい日なたへ出てきた、1頭の子ヒョウを見つけた。まだぼんやりとした灰色の目をした生後8日目の雌で、足どりもいささか頼りない。好奇心が強く、元気いっぱいな様子で、リスが鋭く鳴きかわす声など気にも留めていなかった。母ヒョウがこれまでに産んだ5頭の子は、いずれもブチハイエナやヒヒなどの捕食者に殺されている。この子ヒョウは、生き残ることができるのだろうか。

 ヒョウの生態は、同じネコ科のライオンやチーターとはかなり違っている。頼るべき仲間を持たず、狩りも単独でする。知恵を使い、身を潜めて獲物に近づく技術を磨いて生き抜いていく。このためヒョウを見つけるのは難しい。ボツワナ北部、オカバンゴ・デルタにあるモンボ地区の、コクタンとアカシアのうっそうとした木立の中でこの親子を発見した私たちは、子ヒョウの成長を追うことにした。

 この子ヒョウは、ラハディマ(セツワナ語で「空から降り注ぐ光」という意味)と名づけられた。ラハディマは、生を受けた瞬間から、絶えず身の危険にさらされてきた。巣穴から母子を引きずり出そうとするヒヒの群れに襲われたり、ブチハイエナに待ち伏せされたり、死と隣り合わせの日々が続いた。幼いヒョウには重大な脅威となるライオンも、モレミ野生動物保護区のこの一帯に数多く生息している。これほど危険がいっぱいでも、母ヒョウが狩りで何日も巣穴を留守にしている間、ラハディマは、ひとりで森に出かけて行った。しかし、ラハディマが移動するたびに、サバンナモンキーの目が、はるか遠くからその姿をたちまちとらえ、リスたちは警戒の声をあげた。こうした出来事が、身を隠して獲物に近づく能力を高めていくのだ。

 “狩りの師匠”である母ヒョウは、一人前の捕食者として生き抜くために必要な技術を、根気強くラハディマに教え込んだ。例えば、獲物をどのように押さえつけて、首のどの辺りにかみつけば、息の根を止めることができるのか。このほかにも様々な狩りの技術を身につけてはじめて、ラハディマはヒョウ本来の姿である“孤独なハンター”へと成長していくのだ。


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