/2007年4月号

トップ > マガジン > 2007年4月号 > 特集:岩の大地に刻まれた悠久の時間


最新号

定期購読

ナショジオクイズ

写真はドバイの街を世界で最も高いビル「ブルジュ・ハリファ」から見下ろしたものですが、ブルジュ・ハリファの高さに近い山は次のうちどれ?

  • 箱根山
  • 比叡山
  • 天保山

答えを見る

ナショジオとつながる

メールマガジン無料登録(週2回配信)

メルマガ登録の詳細はこちら


特集

岩の大地に刻まれた
悠久の時間

APRIL 2007

文=マイク・エドワーズ 写真=フランス・ランティング

国西部に広がるコロラド高原。深い谷と高い峰に彩られた岩の大地には、地球が誕生してからの悠久の時間が刻み込まれている。

 米国コロラド高原の人影もない奥地では、すべてがとても緩やかに変化する。時の流れとともに進む浸食によって、メサと呼ばれる台地は少しずつ削られ、峡谷はより深くえぐられていく。雨が多ければ、まばらだった草があちこちに広がり、少なければ枯れる。だが、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラドの4州にまたがる、この色鮮やかな岩の大地は、入植民やスペイン人征服者たちが到達する前から、ほとんど変わっていない。

 ただ、地質学的な時間の尺度で考えてみれば、この起伏に富んだ岩の大地が、数億年もの長い歳月をかけて、大きく変化してきたことがわかる。微弱な力が地形をつくり変えるのに要する、気が遠くなるような時間を、地質学者たちは「深遠な時間」と呼ぶ。ここはまさに、この言葉の意味を理解するのに適した場所だ。

 いくつもの時代を経て、コロラド高原には砂岩や石灰岩、泥岩、頁岩の層が堆積してきた。海や川、風に運ばれ、時間という重石で押し固められたこうした地層は、すさまじい地殻変動によって、持ち上げられ、沈められ、そしてねじ曲げられた。その上を火山から流れ出た溶岩が覆い、さらに風と水が浸食した。こうして、世界でも珍しい地形はできていった。

 今から100年以上も昔、地質学者たちはコロラド高原の峡谷沿いに見つかる地層やメサを20カ所ほど調べ、それぞれに名前をつけた。その一つがナバホ砂岩層だ。1億8000万年ほど前から存在するこの砂岩層は、風によって運ばれた砂が堆積し、1500万年もの時間をかけて形成された。その厚さは、場所によっては600メートル以上にも達し、色合いは地層に含まれる酸化鉄の影響で淡いピンク色から鮮やかなオレンジ色まで変化に富んでいる。そして、この巨大な砂岩層にはおびただしい数の峡谷が刻まれていった。

 それにしても、これほど大量の砂はどこから運ばれてきたのだろう。どうやら、そのほとんどが北米大陸のはるか東に位置するアパラチア山脈に由来するらしい。地質学者のジェフリー・ラールをはじめとする研究者たちは、砂岩層に含まれるジルコンの微細な結晶を調べ、砂の発生源に関する手がかりを見つけた。ナバホ砂岩層のジルコンとアパラチア山脈で採取したジルコンの放射性同位体が一致したのだ。

 おそらくは、アパラチアの山頂から削られた砂が川に流されて西へ向かい、その後、風に乗って堆積し、巨大な砂山になったのだろう。

1/2 pagesNext


ナショナル ジオグラフィック日本版 バックナンバー